2026年8月版

本記事は、2026年8月9日時点で確認できる公表資料と、学長マガジン「株式投資に役立つ7月の投資トピック総まとめ」の内容をもとに、2026年7月の市場環境を整理したものです。

株価を当てにいく記事ではありません。インデックス投資や高配当株投資を続けるうえで、「今、世の中で何が起きていて、どこにリスクがあるのか」を月に一度確認するためのメモです。

投資には、元本割れ、為替変動、金利変動、減配、無配、流動性低下などのリスクがあります。特定の銘柄、投資信託、ETFの売買をすすめるものではありません。最終判断は、ご自身の生活防衛資金、家計、投資目的、リスク許容度を確認したうえで行ってください。

1. 今月の結論

7月の経済ニュースを一言でまとめるなら、「数字は強い。でも体感はまだ重い」です。

日本株全体を見ると、TOPIXは年初来で大きく上昇しています。一方で、7月単月では日経平均株価が大きく下落し、半導体株やAI関連株の勢いが弱まりました。

国内景気は、政府の月例経済報告では「緩やかに回復」とされています。景気動向指数も「改善」を示しています。ただし、景気ウォッチャー調査では現場の体感が50を下回っており、消費者や小売・サービス業の肌感覚はまだ弱いです。

物価は、消費者物価だけを見ると落ち着いてきたように見えます。しかし企業物価は高く、仕入れ価格の上昇が店頭価格に遅れて出てくる可能性があります。賃金は改善傾向ですが、全員が同じように楽になっているわけではありません。

7月の大きな論点は、次の5つです。

  • 日経平均株価は7月に大きく下落したが、TOPIXは底堅かった
  • 国内景気は上向きだが、生活実感はまだ弱い
  • 長期金利上昇、40年ぶり円安、日銀の金利据え置きが注目材料になった
  • 海外では株高が続く一方、半導体株には弱気相場入りの動きが出た
  • 債券や高配当ETFは利回りが上がっても、価格下落リスクを無視できない

相場が荒れている時ほど、やることはシンプルです。短期で当てにいくより、リスク許容度の範囲内で、長期投資を続けられる形に整えておくことが大切です。

2026年7月の確認ポイント
日本株日経平均は調整、TOPIXは底堅い
景気マクロは改善、体感はまだ弱い
物価消費者物価は落ち着くが企業物価に注意
金利・為替長期金利上昇と円安が大きなテーマ
投資姿勢短期売買より長期継続を優先

2. 日本株の動き

7月31日時点で、学長マガジン内で確認されていた主な日本株関連の値動きは次の通りです。

指標7月31日時点年初来の目安
日経平均株価64,362円+24.17%
TOPIX4,003pt+15.12%
グロース250連動ETF548円+2.43%
REIT連動ETF2,013円-7.77%

ここで大事なのは、日経平均株価だけを見ないことです。

日経平均株価は、値がさ株の影響を強く受けます。半導体株や一部の大型ハイテク株が強い時は勢いよく上がりますが、逆にその銘柄群が崩れると、指数全体も大きく下げやすくなります。

7月単月では、日経平均株価は大きく下落しました。学長マガジン内の整理では、7月単月の動きは次のようなイメージです。

  • REIT連動:+2.60%
  • TOPIX:+0.21%
  • グロース250連動:-2.48%
  • 日経平均株価:-8.14%

つまり、7月は「日経平均だけが極端に弱かった」と見ることもできます。TOPIXはほぼ横ばいで、REITは少し巻き返しました。

ここ最近は、半導体株に勢いがある時は日経平均が強く見え、半導体株が失速すると日経平均だけが大きく悪く見える場面があります。だからこそ、日本株全体の実力を見るなら、TOPIXも一緒に確認したいところです。

私自身も、以前は日経平均のニュースだけを見て「日本株が全部強い」「日本株が全部弱い」と感じていました。でも実際には、指数の中身によって見え方が大きく変わります。

レジの混み具合だけを見て「スーパー全体が繁盛している」と決めつけるようなもので、売り場ごとの動きまで見ないと本当の姿は分かりません。株価も同じです。

3. 半導体株にあらずんば株にあらず、の空気が少し変わった

6月までの相場では、半導体株やAI関連株が主役でした。勢いのある銘柄に資金が集中し、「半導体株にあらずんば株にあらず」のような空気もありました。

ところが7月に入り、少し景色が変わりました。

  • 半導体株を引っぱっていた勢いが弱まった
  • 日経平均株価とTOPIXの差が少し縮まった
  • 売られていたREITが若干巻き返した
  • 高配当・バリュー系にも資金が向いた

これは、相場のバランスが少し良くなったとも言えます。

もちろん、半導体やAI関連が終わったという話ではありません。10年単位で見れば、AI、データセンター、半導体、電力、通信インフラはまだ成長テーマです。

ただし、短期間で急上昇したものは、短期間で急落することもあります。信用取引でパンパンに買って、調子に乗ってポジションを膨らませた後、急落で利益を全部吐き出してしまう人もいます。

短期投資は、言ってしまえばかなり難しいマネーゲームです。長期投資家が見ているゲームとは別物です。

もしAI革命の恩恵を受けたいなら、短期の値動きを追いかけるより、インデックス投資でじっくり保有する方が、普通の個人投資家には合いやすいと感じます。リンゴの木を植えたら、明日いきなり実をもぎ取ろうとせず、時間をかけて育てるイメージです。

4. 日本の景気はどうなっているか

日本政府の7月の月例経済報告では、景気について次のように表現されています。

景気は、緩やかに回復しているが、中東情勢の影響を注視する必要がある。

5か月連続で同じ基調の表現が続いています。ざっくり言えば、政府の見方は「景気は良くなっている。ただし中東情勢には注意」です。

月例経済報告では、個人消費、設備投資、輸出、企業収益、雇用情勢などを分けて確認しています。7月の整理では、個人消費は「持ち直しの動き」、設備投資は「持ち直している」、雇用情勢は「改善の動き」とされています。

一方で、国内企業物価は「上昇している」、消費者物価は「緩やかに上昇している」とされています。

つまり、企業活動や雇用は悪くないけれど、物価の圧力はまだ残っているということです。

ここで注意したいのは、マクロとミクロの温度差です。

  • マクロ:国全体の統計では景気が改善している
  • ミクロ:個人の生活実感では、まだ物価高が重い

この2つは、同時に起こります。

景気が良くなっていると言われても、毎月のスーパーの支払いが増えていれば、生活者としては「そんなに良くなっている実感はない」と感じます。これは自然な感覚です。

投資判断では、どちらか一方だけでなく、両方を見る必要があります。

5. 景気動向指数は「改善」

内閣府の景気動向指数では、2026年6月分速報のCI一致指数が118.2となり、基調判断は「改善」でした。

景気動向指数は、生産、雇用、販売など複数の指標を合成して、景気の現状や先行きを見るための指標です。

学長マガジンで扱われていた2026年5月分速報では、先行指数116.8、一致指数118.5、遅行指数111.5で、こちらも基調判断は「改善」でした。その後、8月7日に公表された6月分速報でも「改善」が続いています。

つまり、統計上は景気の方向は上向きです。

ただし、景気動向指数が改善しているからといって、すべての人の生活がすぐ楽になるわけではありません。企業業績が改善し、賃金が上がり、実際の手取りや生活実感に届くまでには時間差があります。

景気を大きな川の流れに例えるなら、景気動向指数は「川全体は上流から水量が増えている」と教えてくれる指標です。でも、末端の田んぼまで水が届くには時間がかかります。

だから、今は「良くなっているはずなのに、まだ自分の生活は重い」と感じる人がいても不思議ではありません。

6. 景気ウォッチャー調査はまだ50を下回る

景気ウォッチャー調査は、街角の景気感を知るための調査です。百貨店、スーパー、コンビニ、レジャー施設、タクシー運転手など、景気に敏感な職種の人たちに話を聞いて、景気の体感を数値化します。

2026年6月調査では、現状判断DIが44.0でした。前月からは上昇していますが、景気判断の分かれ目とされる50は下回っています。

ここが、今回の記事でかなり大事なポイントです。

月例経済報告や景気動向指数は、全体としては前向きです。一方で、景気ウォッチャー調査はまだ「景気が良い」と言い切れる水準ではありません。

このズレは、投資家にとっても生活者にとっても大切です。

株価は未来を先取りして動きます。企業の利益や景気回復を先に織り込んで上がります。しかし、生活実感は後からついてきます。給料や手取り、物価、家計の余裕は、どうしても遅れて変わります。

だから、投資家としては「株価は上がっているのに、生活は楽になっていない」という違和感を持っても大丈夫です。その違和感こそ、統計と体感のズレを見ている証拠です。

7. 物価は落ち着いてきたように見えるが、油断はできない

6月の全国消費者物価指数では、生鮮食品を除く総合が前年同月比で1.6%上昇しました。日銀が目標とする2%を5か月連続で下回っています。

この数字だけを見ると、「インフレはもう落ち着いたのでは」と感じるかもしれません。

ただ、ここで終わらせると少し危ないです。

個人の生活に効いてくる物価は、人によって違います。たとえば、パン、米、牛乳、卵、電気代、ガソリンをよく使う人は、その品目の値上がりを強く感じます。全体のインフレ率が1.6%でも、自分の生活インフレ率はもっと高く感じることがあります。

さらに、企業物価指数にも注意が必要です。企業同士の取引価格が上がると、すぐには店頭価格へ反映されなくても、時間差で消費者価格に乗ってくることがあります。

イメージしやすく言えば、飲食店がおにぎりを100円で仕入れて110円で売っていたとします。仕入れ価格が110円になったのに、販売価格を110円のままにしていたら、利益が出ません。どこかのタイミングで115円、120円へ値上げする必要が出てきます。

これが、企業物価から消費者物価への波及です。

だから、消費者物価の数字が少し落ち着いても、企業物価や原油価格が再び上がれば、生活者の負担が後から増える可能性があります。

8. 実質賃金は改善傾向

2026年5月の実質賃金は、前年同月比でプラスとなりました。学長マガジン内では、実質賃金が5か月連続のプラスとなっている点が紹介されています。

これは、とても良いニュースです。

ここ数十年、日本では「物価は上がるのに給料がなかなか上がらない」という感覚が続いていました。いわゆる「失われた30年」です。

しかし、最近は少しずつ流れが変わってきています。名目賃金がしっかり上がり、物価上昇率を上回れば、実質賃金はプラスになります。

たとえば、物価が1%上がっても、給料が3%上がれば、実質的には前より余裕が出ます。物価が2%上がっても、給料が4%上がれば、同じく生活は良くなりやすいです。

もちろん、これは全員に同じように起きるわけではありません。大企業と中小企業、正社員と非正規、都市部と地方、業種によって差があります。

それでも、実質賃金がプラスで続いていることは、長い目で見ると大事な変化です。これが6か月、7か月、1年と続けば、生活実感も少しずつ変わっていく可能性があります。

私たち個人にできることは、給料が上がる流れを待つだけではありません。

  • 本業で評価される仕事を増やす
  • 副業で小さな収入源を育てる
  • 転職市場で自分の価値を確認する
  • 固定費を見直して、上がった給料を消さない
  • 余剰資金を長期投資へ回す

物価高を節約だけで耐えるのは限界があります。これからは、収入アップという「攻め」も大切になります。

9. 雇用環境は悪くない

2026年6月の完全失業率は2.5%、有効求人倍率は1.18倍でした。

イメージしやすく言うと、完全失業率2.5%は、100人のうち2.5人が完全失業者という状態です。有効求人倍率1.18倍は、仕事を探している1人に対して、求人が1.18件あるという意味です。

もちろん、希望する地域、職種、賃金、働き方に合う求人があるかどうかは別問題です。ただ、統計上は「仕事が全くない」という環境ではありません。

景気、物価、賃金、雇用をまとめると、国内は次のように整理できます。

  • 全体で見ると景気は改善方向
  • 個別に見ると生活実感はまだ弱い
  • 実質賃金のプラスは良い変化
  • 物価と中東情勢がリスク
  • 雇用環境は悪くない

もし今の職場で賃金が上がらず、生活が厳しくなっているなら、転職や副業を検討するには悪くない時期です。もちろん、勢いだけで辞めるのではなく、求人、スキル、生活防衛資金を確認してから動くことが大切です。

10. 7月の国内トピック

7月の国内トピックは、次の3つです。

  1. 骨太ショック
  2. 40年ぶり円安
  3. 日銀、金利据え置き

どれも、投資家だけでなく家計にも関係があります。

株を持っていなくても、金利が上がれば住宅ローン、預金金利、債券価格に影響します。円安になれば、輸入品、エネルギー、食料品の価格に影響します。政府の財政運営への見方が変われば、長期金利や為替にも波及します。

11. 骨太ショックと長期金利

7月上旬、日本の長期金利が大きく上昇しました。ニュースでは、10年物国債利回りが一時2.9%に上昇し、約30年ぶりの高水準と報じられました。

きっかけの一つとして見られたのが、「骨太の方針」の原案です。正式名称は「経済財政運営と改革の基本方針」です。

投資家が気にしたのは、財政の健全性です。

国債は、政府がお金を借りるために発行するものです。投資家から見ると、財政が悪化しそうな国にお金を貸すなら、より高い利回りを求めたくなります。

だらしない人にお金を貸す時ほど、高い利息を求める。これは金融の基本です。

もちろん、国と個人を同じに見ることはできません。ただ、市場の反応としては「財政規律が弱まるのではないか」と見られると、国債が売られ、長期金利が上がりやすくなります。

長期金利が上がると、いろいろな場所に影響します。

  • 国債価格は下がりやすい
  • 住宅ローンの固定金利に上昇圧力がかかる
  • 企業の借入コストが上がる
  • REITなど借入が多い資産には逆風になりやすい
  • 一方で、預金や債券の利回りは魅力が増す

金利ある世界に入ると、お金の置き場所の見方が変わります。

昔のように「預金してもほぼゼロ」ではなく、「安全資産でも利息がつく」世界になってきました。これは良い面もありますが、株やREITにとっては競争相手が増えるということでもあります。

12. 40年ぶり円安

7月は、円安も大きなテーマでした。一時は1ドル163円台に迫るほどの勢いで、約40年ぶりの円安水準が意識されました。

円安になる理由は一つではありません。

  • 日本とアメリカの金利差
  • 貿易赤字やデジタル赤字
  • 個人や企業の海外投資
  • 日本経済への信頼低下
  • 原油価格や地政学リスク

海外からモノを輸入するには、円を売ってドルなどの外貨を買う必要があります。Amazon、Google、Apple、Microsoftなど海外サービスへの支払いも、広く見れば円を売って外貨を買う動きにつながります。

また、私たちがS&P500やオルカンのような海外資産へ投資する時も、円を売って外貨建て資産を買う流れになります。

右を見ても左を見ても、「円を売ってドルを買う」動きが起きやすい。そうなると、円安になりやすいのは自然です。

ただし、為替は一方向には進みません。行き過ぎた円安に対しては、為替介入が行われることもあります。7月末には、行き過ぎた円安を止めるための介入が意識され、ドル円が急に円高方向へ戻る場面もありました。

ここで気をつけたいのは、ドル建て資産の評価額です。

1ドル163円から140円になるだけで、ドル建て資産は円換算で約14%目減りします。1000万円分のドル建て資産が、為替だけで約860万円に見えることもあります。

だから、海外投資は悪いものではありませんが、為替リスクは必ずあります。

インデックス投資をするなら、為替の上下も含めて長期で受け入れる。短期の円高・円安で慌てない。ここを最初に決めておくことが大切です。

13. 日銀は金利据え置き

7月30日から31日にかけて行われた日銀の金融政策決定会合では、政策金利の据え置きが意識されました。6月に政策金利を1.0%程度へ引き上げたばかりだったため、7月は様子見という見方です。

日銀は、利上げの真っ最中です。

2024年3月にマイナス金利政策を解除し、その後も段階的に金利を引き上げてきました。2026年6月には、無担保コールレートを1.0%程度で推移させる方針が決まりました。

今後のポイントは2つです。

  • 次にいつ利上げするのか
  • どこまで金利を上げるのか

金利が変わると、預金金利、住宅ローン金利、債券価格、株価、為替に影響します。

利上げは、インフレを抑えるための消火剤のようなものです。物価上昇という火が強ければ、消火剤も強くする必要があります。ただし、消火剤を強くしすぎると、景気まで冷やしてしまうことがあります。

だから日銀は、インフレ、賃金、景気、為替、金融市場を見ながら、少しずつ調整していく必要があります。

個人としては、金利上昇に備えて次の点を確認したいです。

  • 変動金利の住宅ローンを組んでいるか
  • 債券やREITをどれくらい持っているか
  • 預金の置き場所を見直す余地があるか
  • 株式に偏りすぎていないか
  • 借金やカードローンなど高金利の負債がないか

金利ある世界の歩き方を、少しずつ学んでいきたいところです。

14. 海外株式市場

海外株式も、全体としては高値圏です。

学長マガジン内では、2026年のG7主要株価指数の年初来パフォーマンスが整理されていました。7月31日時点の画面確認ベースでは、次のような順位です。

順位指標年初来の目安
1位FTSE MIB(イタリア)+14.98%
2位S&P TSX(カナダ)+11.08%
3位S&P500(米国)+9.41%
4位FTSE100(イギリス)+9.21%
5位DAX40(ドイツ)+4.44%
6位CAC40(フランス)+3.84%
参考TOPIX(日本)+15.12%

この整理では、日本がかなり強い位置にいます。TOPIXの年初来上昇率は、主要国の中でも目立ちます。

ただし、7月単月で見ると景色は変わります。米国のS&P500はほぼ横ばいから小幅マイナス、イギリスは堅調、欧州も国によって差が出ています。

最近よく言われる「米国一強時代は終わるのか」という話も、ここで見ておきたいポイントです。

S&P500は悪い成績ではありません。むしろ年初来で十分強いです。ただ、米国以外の先進国にまるっと投資するファンドや、新興国にまるっと投資するファンドが米国を上回る時期もあります。

これは、オルカンや分散投資の意味を思い出させてくれます。

米国株だけでも長期的には強い可能性がありますが、いつも米国が一番とは限りません。国や地域を分散することで、「その時の勝ち組」を全部当てなくても、世界全体の成長を取りにいけます。

15. ゴールドと債券ETF

金価格や債券ETFも、7月は重要な確認ポイントでした。

ゴールドETFとして知られるGLDは、年初来でプラスではあるものの、株式と比べると勢いは弱めでした。学長マガジン内では、7月31日時点の画面確認で年初来+6.71%程度と整理されています。

ゴールドは、利息を生みません。

金利が高い環境では、ゴールドよりも預金や債券のように利息がつく資産が好まれやすくなります。金利が上がると、ゴールドには逆風になりやすいです。

一方で、地政学リスクが高まると、安全資産としてゴールドが買われることもあります。中東情勢、通貨不安、インフレ懸念がある時は、ゴールドが支えられる場面もあります。

つまり、ゴールドは「金利上昇には弱いが、不安には強い」資産です。

次に、債券ETFです。

学長マガジンでは、米国の代表的な債券ETFとしてAGG、LQD、HYGが紹介されていました。

ETF特徴7月31日時点の目安
AGG米国総合債券、比較的ローリスク年初来 -2.51%、分配金利回り約4.04%
LQD米国投資適格社債、ミドルリスク年初来 -3.58%、分配金利回り約4.66%
HYG米国ハイイールド社債、ハイリスク年初来 -1.43%、分配金利回り約5.95%

利回りだけ見ると、どれも魅力的に見えます。4%、5%、6%近いインカムが狙えるなら、分散投資の一部としては役割がありそうです。

ただし、ここに債券投資の難しさがあります。

金利が上がると、債券価格は下がりやすいです。せっかく5%の利息をもらっても、価格が5%下がれば、短期ではトータルで意味がなくなります。

特にHYGのようなハイイールド債は、景気が悪くなると信用リスクも意識されます。利回りが高いのは、リスクが高いからです。

「利回りが高い=おいしい」とだけ見るのではなく、「なぜこの利回りが必要なのか」を考える必要があります。

買うなら長期で持つ。数か月や1年程度で成功・失敗を判断しない。これが債券でも株でも共通するコツです。

16. 高配当ETFの動き

最後に、高配当ETFです。

HDV、SPYD、VYMの年初来パフォーマンスは、7月31日時点の画面確認ベースで次のように整理されていました。

順位ETF年初来の目安
1位HDV+18.13%
2位SPYD+14.45%
3位VYM+12.85%

S&P500の年初来+9%台よりも、かなり良い成績です。

7月は半導体株やハイテク株が弱くなった一方、高配当・バリュー系の銘柄には資金が向かいやすい環境でした。だから、高配当ETFの価格は堅調でした。

ただし、値上がりすると分配金利回りは下がります。

学長マガジンでは、現在の分配金利回りの目安として、VYMが約2.25%、HDVが約2.90%、SPYDが約4.03%と整理されていました。過去平均と比べると、やや低い水準です。

ここで大事なのは、米国高配当株を「今すぐ買えばおいしい」と飛びつかないことです。

高配当株は、利回りが高い時ほど注目されます。しかし、利回りが高い理由が「株価が下がっているから」なのか、「安定した分配が続いているから」なのかで意味が全く違います。

また、いくら値上がり率が良くても、それは高配当株投資というより、モメンタム投資に近くなることがあります。

高配当株投資の基本は、人気がない時に良い銘柄を拾い、配当をもらいながら長く持つことです。みんなが注目している時に、勢いだけで買う投資とは少し違います。

個人的には、米国高配当株よりも、日本や欧州の高配当株の方を見たい局面だと感じます。もちろん、良い銘柄があるかどうかは別問題です。大切なのは、不人気な時を待ち、数字と事業内容を見て判断することです。

17. 7月の海外トピック

7月の海外トピックは、次の3つです。

  1. 原油価格がまた上昇
  2. 半導体株指数が弱気相場入り
  3. FOMCが金利据え置き

18. 原油価格がまた上昇

原油価格は、再び上昇しました。背景には、中東情勢の緊張があります。

今年の1月頃、WTI原油先物は約60ドル付近でした。その後、3月以降に中東情勢の悪化で90ドルから110ドル台まで急上昇し、7月初めには一度70ドル近くまで下がりました。しかし、情勢がまた不安定になり、90ドル前後まで戻る場面がありました。

原油高は、経済にとって高血圧のようなものです。

一瞬だけ上がるなら大きな問題にならないこともあります。しかし、長く続くと、輸送費、電気代、ガソリン代、原材料費などを通じて、企業や家計にじわじわ効いてきます。

政府や企業には、ある程度の備えがあります。備蓄や価格対策もあります。それでも原油高が長く続くと、経済にダメージが蓄積し、不況の火種になる可能性があります。

だから、原油価格は引き続き確認が必要です。

19. 半導体株指数が弱気相場入り

7月17日、アメリカの半導体株指数であるSOX指数が、直近高値から20%以上下落し、弱気相場入りしたと話題になりました。

半導体株は、AIブームの中心にありました。エヌビディア、AIサーバー、データセンター、電力需要など、夢のあるテーマが多かったからです。

ただし、期待が大きすぎると、少しでも不安が出た時に大きく売られます。

市場で意識された不安は、次のようなものです。

  • AI投資は本当に回収できるのか
  • データセンター投資は過剰ではないか
  • 株価が期待を先取りしすぎていないか
  • 金利高止まりで成長株の評価が下がらないか

米国の半導体株だけでなく、日本のキオクシア、韓国のサムスン電子などにも売りが広がり、日経平均や韓国KOSPIにも影響しました。

これは、「良くも悪くも、相場は行き過ぎる」という好例です。

短期間で急上昇したものは、短期間で急落することがあります。長期的には成長産業でも、短期的には厳しい調整が入ります。

だからこそ、個別テーマへ集中投資する時は注意が必要です。AIという未来を信じることと、今の株価が割安かどうかは別問題です。

20. FOMCは金利据え置き

米連邦準備理事会(FRB)は、7月29日のFOMCで政策金利の据え置きを決めました。アメリカの政策金利は3.50%から3.75%のレンジが維持されています。

注目点は2つです。

1つ目は、金利据え置きに反対したメンバーがいたことです。学長マガジンでは、12人のうち3人が「利上げを主張して反対した」と整理されていました。

人数で例えるなら、サッカーは11人でやるスポーツですが、試合中に3人が「今の戦い方では納得できない」と言っているようなものです。チームの方向性が少し割れていると見ることができます。

2つ目は、金利高止まりの予感です。

FRBは、インフレ退治を大切にしています。インフレが高いなら、本来は利上げという強い薬を使いたい。しかし、利上げしすぎると景気や株価に副作用が出ます。

だから今は、3.50%から3.75%という薬を飲み続けて、様子を見ているような状態です。

この金利トレンドは、世界の為替や株価に強く影響します。アメリカの金利が高いままだと、ドルが買われやすくなり、円安圧力にもなります。高金利が続くと、成長株や債券価格にも影響します。

アメリカの金利は、今後も必ず確認しておきたい指標です。

21. Fear & Greed Indexは「Fear」

米国のFear & Greed Indexは、7月31日時点で42でした。表示は「Fear」です。

恐怖・強欲指数は、相場がイケイケの時はGreed、相場が弱気の時はFearを示す指標です。

株高が続く一方で、半導体株の失速、中東情勢、AI投資への回収懸念、国の債務問題など、投資家は完全な強欲モードではありません。

これは、ある意味では健全です。

相場が上がっている時に、全員が「絶対大丈夫」と思い始める方が怖いからです。不安の壁をよじ登るように株価が上がることもあります。

ただし、不安があるからといって、すぐに全部売る必要もありません。

大切なのは、リスク許容度の範囲内で投資しているかどうかです。株価が半分になっても耐えられるか。円高で評価額が下がっても続けられるか。収入が下がっても積立を止めずに済むか。

ここを確認しておく方が、恐怖指数の数字を毎日追いかけるより大切です。

22. まとめ:7月は「過熱から調整へ」の月

ここまでの内容を整理します。

  • 7月の日本株は、日経平均株価が大きく下落した一方、TOPIXは底堅かった
  • 半導体株主導の相場は少し弱まり、高配当・バリュー系にも資金が向いた
  • 月例経済報告では景気は緩やかに回復中
  • 景気動向指数は改善を示した
  • 景気ウォッチャー調査は50を下回り、生活実感はまだ弱い
  • 消費者物価は落ち着いてきたが、企業物価と原油高に注意
  • 実質賃金は改善傾向で、長い目では良い変化
  • 長期金利上昇、円安、日銀の金利据え置きが国内の大きなテーマ
  • 海外では株高が続く一方、半導体株は弱気相場入り
  • 債券や高配当ETFは利回りだけで判断しない
  • FOMCは金利据え置きで、米金利の高止まりに注意

5月、6月は急激な株高が続きました。しかし7月に入り、相場の雰囲気は少し変わりました。

日経平均株価は逆回転し、半導体株の過熱感が冷まされました。一方で、TOPIXや高配当系は底堅く、すべてが悪いわけではありません。

私の投資スタンスとしては、インデックス運用は淡々と継続。アクティブ運用としての高配当株投資は、日本株を中心に、良い銘柄があれば拾っていく。米国高配当株は、今は無理に買いに行かない。

これくらいの温度感で見ています。

相場が荒れている時ほど、派手な動きをしたくなります。でも、資産形成で本当に大切なのは、相場の正解を一発で当てることではありません。

生活防衛資金を守り、固定費を整え、収入を増やす努力をし、余剰資金で長期投資を続けることです。

7月のニュースは、金利、円安、物価、半導体、原油と材料が多い月でした。だからこそ、毎月一度、こうして整理しておく価値があります。

焦らず、欲張りすぎず、でも学び続ける。

8月も、相場に振り回されすぎず、リスク許容度の範囲内で長期投資を続けていきたいです。

参考資料