2025年4月のモデルは「売られた理由」を考える教材

株価が急落したとき、「高配当株がお買い得になった」と考える人もいるでしょう。しかし、株価が下がった理由によって、割安と評価できるかどうかは変わります。

2025年4月5日付の高配当株マガジン第74回では、米国の関税政策による世界株式市場の動揺が取り上げられていました。2025年3月末の日経平均株価は35,617.56円。前月末から約4.13%下落し、その直後にも大きな相場変動が発生していた時期です。

第74回の新規モデルでは、前月から新しい銘柄の追加・除外をせず、2025年3月の構成を維持する判断が示されました。当時の概算配当利回りは4.35%です。

この回から初心者が学べることは、値下がりした株を何でも買うのではなく、「企業の稼ぐ力は変わっていないか」「配当を続ける力に影響するか」「資産全体の分散が保てるか」を考える姿勢です。

本記事は会員向け投稿の文字起こし・図解を転載したものではありません。2025年当時のモデルと相場観をもとに、公開されている一次資料などと照合し、初心者向けに独自の解説へ再構成しています。資産形成ナビは独立した個人運営の非公式メディアであり、元のコミュニティや動画の運営者と提携した公式サイトではありません。

※歴史的な市況の数値は主に2025年3月31日、元投稿は2025年4月5日、公開資料の確認日は2026年10月19日です。株価、配当利回り、為替、企業業績は現在の数字ではありません。元本割れ・減配・無配などのリスクがあるため、本記事は特定銘柄の購入や売却を推奨するものではありません。

2025年3月末の日経平均と高配当株市場

2025年3月31日の日経平均株価は35,617.56円で、前月末から1,537.94円、約4.13%下落しました。2025年2月に続く大きな下落です。

日経平均プロフィルの公式日次データでは、当日の加重平均PERは14.63倍、PBRは1.34倍と示されています。

指標2025年3月末の数値補足
日経平均株価35,617.56円3月31日終値
前月末比−1,537.94円約4.13%下落
PER(加重平均)14.63倍公式の日次指数データ
PBR(加重平均)1.34倍公式の日次指数データ
ドル円149.95円元投稿の参考値。採用時刻に注意
日経高配当株50利回り約4.23%元投稿の参考値。算出条件の再照合は未完了
利回り3.75%以上の企業860社元投稿独自の対象・集計による参考値

出典:日経平均プロフィル・2025年3月31日の日次サマリー、2025年3月の指数リポート。

元投稿に記載された為替、配当利回り、該当企業数は、算出日時や対象銘柄・予想配当の条件を完全にはそろえて再計算できていないため、参考値として分けています。

なぜ日経平均は下落したのか

日本経済新聞社の月次リポートでは、米国の相互関税導入への警戒、輸出企業の収益悪化懸念、米国のインフレ圧力などが相場の重荷になったと説明されています。

特に、自動車産業など輸出比率の高い企業は、関税で販売価格が上昇し、海外の需要が落ち込む可能性を意識されました。半導体関連では米中対立や米国ハイテク株の下落も影響したとされています。

もっとも、関税の影響は企業ごとに大きく異なります。直接輸出を行う企業と、国内で生活必需品を販売する企業では、影響の経路が違います。国内企業でも輸入原材料価格や為替の変化を通じて影響を受ける場合があり、「国内企業なら無関係」とは断定できません。

3月末データと4月の急落を混ぜない

第74回の元投稿では、2025年3月末のモデル表を紹介しつつ、4月初旬に生じた大きな市場変動にも注意を促していました。

これは重要な区別です。3月31日の株価で計算された配当利回りを、4月5日の市場で「今の利回り」と受け取るのは正確ではありません。

例えば年間配当120円の株式は、株価が3,000円なら利回り4%です。急落して株価が2,400円になれば、同じ予想配当を前提に利回りは5%になります。

しかし、関税などの影響で企業の利益が減り、年間配当予想が90円へ下方修正されれば、株価2,400円に対する利回りは3.75%です。株価が下がっただけの計算と、利益・配当予想の変化を考慮した計算では、判断が違います。

元投稿は当時の相場急変を踏まえた見解でしたが、その後の政策や株価の結果を元投稿時点ですでに確定していたかのように説明すべきではありません。時系列と情報基準日は分けて理解しましょう。

参考:日経平均プロフィル・2025年4月の指数リポート。こちらは4月末後に公表された回顧資料であり、4月5日当時の判断材料として扱うものではありません。

業績が落ちない株と、業績が悪化する株は違う

株価が10%下がったとしても、その理由が市場全体の一時的な不安なのか、企業の利益が長期にわたり減る見通しなのかによって意味は変わります。

前者では、企業の将来の現金収入や配当見通しが維持されるなら、購入価格が下がったことで新規投資の条件が改善する場合があります。

一方、関税や価格競争によって売上や利益が恒常的に下がるなら、株価下落が企業価値の減少を反映している可能性があります。単純に以前の株価と比べて「安くなった」と判断するのは危険です。

確認する際は、次の問いを持つと整理しやすくなります。

  • 売上先は日本国内か、米国・欧州・中国などの海外か。
  • 関税負担を販売価格へ転嫁できるか。
  • 原材料を輸入しており、為替変化によってコストが動くか。
  • 借入や設備投資の負担が大きいか。
  • 景気が悪化しても、営業キャッシュフローを生み出せるか。
  • 配当性向が高く、利益減少で減配しやすくなっていないか。

目先の配当利回りだけでなく、企業の稼ぐ力と現金収入に影響がないかを調べることが大切です。

2025年4月モデルは銘柄入れ替えなし

第74回の新規モデルでは、前月の構成を基本的に維持し、追加・除外はありませんでした。当時の概算配当利回りは約4.35%と紹介されています。

項目2025年4月の元投稿
新規追加なし
新規除外なし
モデルの考え方前月の分散構成を維持
概算配当利回り約4.35%
注意点3月末など当時の条件に基づく参考値

前月に追加されたのは竹内製作所です。銘柄変更の経緯は2025年3月モデルの解説で整理しています。

元投稿では、メガバンクや食品など、業種のバランスと価格水準によって将来的に検討したい企業群にも触れています。しかし、これらは当時の相場を踏まえた候補の考え方であり、現在の買い推奨を意味しません。

また、新規モデルに銘柄が加わらなかったからといって、既存の銘柄をすべて無条件で保有し続けるべきという結論にもなりません。企業の業績悪化、配当方針の変更、上場廃止や買収など、個別事情が起きれば見直しが必要なこともあります。

配当利回り4.35%は今も得られる?

4.35%はあくまで2025年4月モデルの概算値です。現在の株価・配当予想・銘柄構成が変われば、同じ利回りが得られるとは限りません。

仮に税引前4.35%の利回りが実現した場合、年間配当は単純計算で次のようになります。

仮の投資元本年間配当(税引前)
30万円13,050円
100万円43,500円
300万円130,500円
1,000万円435,000円

実際には端株・単元株の購入額、企業の減配や増配、株価変動、税金などにより受取額は異なります。利回り4.35%が続くという保証はありません。

また、株式の年間配当収入が4.35%であっても、株価が20%下落すれば、配当を考慮しても大きな含み損が残る可能性があります。目先の利回りの高さよりも、生活費を守りながら長期的に投資を続けられるかが重要です。

円高と株安のダブルパンチに備える

全世界株式やS&P500に連動する投資信託は、投資先の企業が海外に広がる点で分散効果があります。一方、円で生活する人にとっては、外貨建て資産の円換算価格が為替によって変わる点も考慮する必要があります。

たとえばドル建ての株価が10%下落し、同時にドルが円に対して10%値下がりした場合、円換算の評価額は0.9×0.9=0.81倍となり、約19%減少します。

これは単純な計算例であり、実際の市場変動を予測する数字ではありません。株価の変動と為替の動きは時期によって変わります。

元投稿では、円で生活する人が円建て資産と外貨建て資産、また値上がり益中心の資産と配当・利息など現金収入を得る資産を組み合わせる考え方が紹介されていました。

ただし「円建てと外貨建てを1対1」「株式インデックスとインカム資産を1対1」にすべきという普遍的な正解はありません。貯蓄の多寡、住宅ローン、将来の支出、収入、投資期間によって必要な資産配分は異なります。

円建ての日本株であっても、海外売上が多い企業は為替変動の影響を受けます。逆に、外貨建ての投資信託でも、世界に事業を持つ企業へ分散できる場合があります。

見た目の通貨だけでなく、企業の事業構造や家計の支出通貨を合わせて見ることが必要です。

債券やJ-REITを持てば暴落しない?

株式に加えて債券やJ-REITを保有することは、資産全体のリスク分散を考える一つの方法です。しかし、株価が下がったときに必ず債券やREITの価格が上がるとは限りません。

債券は市場金利の上昇で価格が下がる場合があります。信用リスクのある社債は、企業の財務状況が悪化したときにも影響を受けます。

J-REITはオフィス、商業施設、住宅、物流施設などの賃貸収入を原資とすることがありますが、借入金利の上昇、空室率の変化、不動産価格の下落などが分配金と価格に影響します。

また、米国の債券ETFを円で保有する人は為替リスクも負います。株式と値動きが完全に反対になるという前提で組み合わせないようにしましょう。

分散投資は「必ず損を防げる仕組み」ではなく、ある資産が不調のとき、他の資産や現金で資金の必要性を補いやすくする方法の一つです。

現金を持つ意味

投資を続けるためには、株式や債券だけでなく生活費を賄う現金も必要です。

急な医療費や住宅修繕、失業、家族の支援など、相場に関係なく支払う必要がある支出があります。緊急時に株価が大きく下がっていると、売却によって損失を確定せざるを得なくなることがあります。

生活防衛資金を先に確保することは、将来の運用成績を約束するものではありませんが、資産形成を継続する際の重要な土台です。

利上げ・関税・景気変動に強い銘柄の調べ方

市場が動揺する期間に新しく高配当株を検討する場合は、次の順序で企業を確認しましょう。

  1. 売上と利益がどの地域・顧客・製品に依存しているか。
  2. 関税や物流費、原材料高を販売価格へ転嫁できるか。
  3. 為替が動いた場合、売上・仕入れ・借入にどのような影響があるか。
  4. 営業利益率・EPS・営業キャッシュフローが複数年で安定しているか。
  5. 配当性向が一時的に高くなっていないか。
  6. 借入金利が上がっても事業を続ける財務余力があるか。
  7. 業種・通貨・金利への依存が保有資産全体で偏っていないか。

市場全体が下落しても、企業がどの程度利益を維持できるかは同じではありません。企業の財務諸表や適時開示を読むと、価格の変化と事業価値の変化を分けて考える助けになります。

また、日々のニュースに反応して過度に売買を繰り返す必要があるとは限りません。長期保有を目指すなら、売買の理由・確認した根拠・目標とする現金収入・許容できる損失額を先に整理しておくことが有効です。

新NISAと配当金の受け取り方も確認

日本のNISA制度では、条件を満たす口座内での上場株式の配当や売却益が非課税となる仕組みがあります。

ただし、国内上場株式の配当を非課税で受け取るには、原則として証券会社を通じて受領する「株式数比例配分方式」を選択する必要があります。銀行口座などで受け取る設定になっていると、非課税にならないことがあります。

また、課税口座での配当控除は対象となる配当や所得、申告方法によって異なり、誰でも税金が一律の割合に下がるわけではありません。健康保険料や扶養などへの影響も考慮が必要です。

参考:金融庁・NISAの基本、国税庁・上場株式等の配当等。

よくある質問

Q.2025年4月モデルでは新しい銘柄が追加されましたか?

いいえ。第74回で示された新規モデルは、前月の構成を基本的に維持し、追加・除外はありませんでした。当時の概算配当利回りは約4.35%です。

Q.関税ショックで株価が下がったら買い時ですか?

下落した理由が市場全体の不安なのか、企業利益の悪化なのかによって評価が異なります。株価だけでなく最新の事業見通し、配当予想、キャッシュフローを確認する必要があります。

Q.円建てと外貨建てを半分ずつ保有すれば安全ですか?

一律の配分がすべての人に適するわけではありません。生活費、将来の支出、収入、投資期間、保有する企業の事業構造によって適切な割合は変わります。

Q.債券やREITがあれば株式の下落を必ず補えますか?

必ずしもそうではありません。債券も金利や信用リスクで下落し、REITにも借入金利・賃料・不動産市況のリスクがあります。

Q.過去のモデル利回り4.35%を今も再現できますか?

過去の株価や予想配当を使った概算です。現在の条件で同じ利回りになるとは限らず、元本や配当金も保証されません。

Q.高配当株だけで老後資金を用意した方がよいですか?

高配当株は選択肢の一つですが、現金、年金、低コストのインデックス投資信託、必要に応じた売却による資金確保なども比較することが大切です。

まとめ:急落時ほど企業の稼ぐ力と分散を確認する

2025年4月モデルの特徴は、株式市場が大きく動く状況でも、短期的な関税ニュースだけを理由とする銘柄の入れ替えを行わず、前月の分散構成を維持した点です。

相場が下がったときは、新規購入時の配当利回りが上昇する場合があります。しかし、企業の利益や配当が減れば、見かけの割安さは必ずしも本当の割安ではありません。

株価と企業価値を分けて考え、円建て・外貨建て資産の偏り、金利への影響、生活に必要な現金を確認することが、長期投資を続けるための基本です。

過去のモデルは投資方法を学ぶための事例として利用し、現在の売買については必ず最新の企業資料・株価・税制を確認してください。

※本記事は情報提供・投資教育を目的とした非公式の独立メディアによる解説です。金融商品や個別銘柄の購入・売却を勧誘せず、将来の配当金・利益・元本を保証しません。最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。

参考資料・情報基準日

相場の基準日:原則2025年3月31日。元投稿:2025年4月5日。公開資料確認:2026年10月19日。