2025年6月モデルの結論:高利回りよりも分散と配当の持続性

高配当株を選ぶとき、配当利回り4%を超える会社を探す人は多いかもしれません。しかし、表示されている利回りが高いことと、今後も同じ配当が受け取れることは別の話です。株価が下がれば見かけの利回りは高くなり、逆に利益が縮小すれば配当金が減らされる可能性もあります。

2025年6月3日に紹介された高配当株マガジン第80回では、2025年5月の相場回復を振り返り、当時の日本株高配当モデルを調整する考え方が取り上げられました。

今回のポイントは、竹本容器を新規モデルから外し、竹内製作所の投資比率を引き下げ、代わりにシーティーエス(4345)と立川ブラインド工業(7989)を加えたことです。過去のモデルの概算配当利回りは4.19%とされていました。

ただし、個々の銘柄が今も同じ価格や利回りで購入できるとは限りません。投資先の業種をどのように分散し、景気による利益の減少にどう備えるかを学ぶための事例として読んでください。

本記事は会員向けの元投稿から事実関係とテーマを整理し、企業IRや市場の一次資料を確認しながら独自の解説へ再構成しています。元投稿の全文、図表、具体的な保有株数を転載したものではありません。資産形成ナビは独立した個人運営の非公式メディアであり、元のコミュニティや講義の公式サイトではありません。

※情報基準日:市場指標は主に2025年5月30日、元投稿は2025年6月3日、公開資料の確認は2026年10月19日です。元本割れ、減配、無配、金利・為替変動などが起こり得ます。本記事は特定銘柄の購入・売却を勧誘するものではありません。

2025年5月は株価が反発した

2025年5月30日の日経平均株価は37,965.10円でした。前月末の36,045.38円から1,919.72円上昇し、月間では約5.32%の上昇です。米国と中国の関税協議が進展したことへの期待や、米国のハイテク企業の好決算などを背景に、4月の急落から回復する動きが見られました。

これは日本経済新聞社が公開した2025年5月の指数リポートでも確認できます。相場は4月に大きく下げた後で反発しましたが、関税政策の見通しが完全に確定したわけではありませんでした。

指標当時の参考値確認状況
日経平均終値37,965.10円2025年5月30日・日経公式資料
前月末比+1,919.72円+約5.32%
日経平均PER15.74倍元投稿時点の参考値
日経平均PBR1.43倍元投稿時点の参考値
米ドル/円144.04円元投稿時点の参考値
日経高配当株50の利回り約4.11%元投稿の参考値・算出条件未再現
利回り3.75%以上の銘柄998社元投稿独自のスクリーニング結果

日経平均終値と月間騰落は日経平均プロフィル・2025年5月の指数リポートで確認しています。PER、PBR、為替、配当利回り、銘柄数は元投稿にある数値ですが、同一条件での一次資料再計算はできていないため、当時の参考値として区別しています。

反発したからといって株価の上昇が続くとは限らない

2025年4月初旬には関税政策への懸念で日米の株式が急落しました。元投稿では、日本の高配当株指数も米国の高配当株指数も、その後5月に回復したことが話題になっています。

ただし、元投稿で示された高配当株指数の月間成績は、採用指数や配当再投資、為替換算などの条件をそろえて再検証できていません。日米の成績を厳密に比較したリターンとして扱わないことが必要です。

相場が大きく下落した後で反発したときは、「安値で購入できた人が得をした」と感じやすくなります。しかし、後から安値を確認できることと、その時点で底値を判断できることは違います。何度も売買して底を当てるよりも、自分の生活資金を守り、分散して長く保有できる銘柄かを考えることが重要です。

配当利回りと配当性向は同時に確認する

高配当株投資の初心者が最初に理解したいのが「配当利回り」と「配当性向」の違いです。

配当利回りは、購入する株価に対して年間配当が何%あるかを示す数字です。例えば株価2,000円、年間配当80円であれば、税引前の配当利回りは4%です。

一方、配当性向は、企業が稼いだ利益のうち、どの程度を配当として支払うかを表します。EPS(一株当たり純利益)が200円で年間配当80円なら、配当性向は40%です。

指標計算方法分かること
配当利回り年間配当 ÷ 株価新規購入価格に対する配当水準
配当性向年間配当 ÷ EPS利益に対する配当負担
EPS当期純利益 ÷ 対象株式数など一株当たりの利益
営業キャッシュフロー本業で生み出した現金の増減配当の原資となる資金創出力

例えばEPSが200円から120円へ減少しても、年間配当80円が維持されれば、配当性向は40%から約66.7%へ上がります。企業が増配していないのに配当性向が高くなる場合もあるのです。

元投稿では、当時の日本企業全体について増益が続いていた一方、翌期の減益を懸念する見方や、配当性向が上昇した企業への注意が紹介されていました。景気や関税、為替などによって利益が下がれば、高い配当を維持しにくくなる企業が出てくる可能性があります。

配当性向50%超は必ず危険?

配当性向50%を超えたという理由だけで、すべての企業が危険になるわけではありません。成熟企業や比較的安定した事業では、利益の一定割合を継続して配当する経営方針もあります。

一方、利益が不安定で設備投資が大きい企業が高い配当性向を続ければ、減配のリスクが高まる場合があります。配当性向は、一年分の数字だけでなく、複数年の利益、営業キャッシュフロー、財務、経営方針とあわせて見る必要があります。

配当性向が高い企業へ一律の安全ラインを設定することはできません。投資家の好みや保有期間によって確認したい条件も異なります。

2025年6月モデルでの銘柄の見直し

元投稿で紹介された新規モデルの調整内容は、次のように整理できます。

区分対象当時の着眼点
新規モデルから除外竹本容器今後の増配余地を他の候補と比較
モデル内の投資比率を低下竹内製作所(6432)海外景気・建設機械需要への集中を調整
新規追加シーティーエス(4345)日本国内の建設現場向けICTサービス
新規追加立川ブラインド工業(7989)国内の室内装飾・建材需要に関係する事業
当時の概算モデル利回り4.19%2025年6月時点の価格・配当予想を前提

第77回(2025年5月モデル)から変わった点を知りたい場合は、前月モデルの解説を参照してください。

ここで大切なのは、モデルからの除外を既存保有株の売却指示と捉えないことです。新しく買うための候補が変わっても、すでに保有している企業の財務や利益が悪化したとは限りません。

また、国内中心の企業を追加することで、海外事業の比率が大きい企業からリスクを一部移す発想はありますが、日本国内の会社なら景気変動や物価変動から完全に守られるわけではありません。

シーティーエス(4345)を追加する理由とリスク

シーティーエスは建設業や官公庁向けにICT関連のサービスを提供する企業です。現場で扱う写真・図面・進捗データなどをクラウドで管理するデジタルデータサービス(DDS)と、測量機器などをレンタル・サポートする測量計測システム(SMS)が事業の柱です。

人手不足が課題となる建設現場では、データ共有や測量作業の効率化が必要となる場合があります。シーティーエスはそうした需要を対象にサービスを展開しています。

参考:シーティーエス公式・事業内容。

建設ICTにはどんな収益の特徴がある?

建設機械を売り切るビジネスと違い、クラウドサービスや機器レンタルは一定期間にわたって利用料が入る仕組みを持つ場合があります。利用企業が継続し、サービスの単価や契約数が増えれば、比較的予測しやすい売上につながる可能性があります。

しかし、顧客の建設投資が減ったり、サービスの競争が激しくなったりすれば、利用契約が伸びなくなることもあります。通信機器、データ管理、営業拠点などにかかる費用も無視できません。

工事量が減れば機材レンタルの需要が落ちる可能性があります。国内の事業が中心でも、公共工事予算や民間設備投資などの影響を受けます。

累進配当なら減配しないの?

シーティーエスは、成長に応じた累進配当を掲げています。累進配当とは、通常、配当額を維持または増やすことを目指す方針です。ただし、経営環境の急変によって方針の変更があり得るため、配当金の法的な保証ではありません。

シーティーエス公式・株主還元では、事業拡大に必要な内部留保と、業績に連動する利益還元を基本方針とすることが説明されています。公式ページは2026年時点の配当方針にも更新されているため、2025年6月時点に知られていた内容として混同しないようにしてください。

投資先として調べるなら、DDSとSMSそれぞれの売上・利益、顧客数、営業キャッシュフロー、配当性向、事業拡大に必要な投資を比較すると理解が深まります。

立川ブラインド工業(7989)を追加する理由とリスク

立川ブラインド工業は、ブラインドやロールスクリーン、間仕切り、カーテンレールなどを製造・販売する企業です。住宅やオフィス、商業施設などの新築・改装需要が関係します。

公式の会社概要では、各種ブラインド・間仕切り・建築材料の製造販売や設計施工などの事業内容が確認できます。

ブラインドは一度購入すれば終わりという商品ばかりではなく、建物の改装、更新、故障、快適性向上などでも需要が生まれます。ただし、住宅着工件数や企業の設備投資、材料価格、物流費などが業績に影響する可能性があります。

国内需要を中心にする企業でも株価は変動する

海外企業との取引が比較的少ない企業であっても、世界的な原材料価格の上昇や国内景気の悪化の影響を受けることがあります。金属、樹脂、布などの材料費が上がったとき、販売価格へどこまで転嫁できるかが重要です。

金利が上がって住宅ローン負担が増え、住宅の新規建設が減少すれば、建材関連の需要が弱まる可能性もあります。企業ごとに新築需要とリフォーム需要の比率を確認すると、業績の変動要因を理解しやすくなります。

配当方針と実際の配当を分ける

立川ブラインド工業は配当水準の維持または増配継続を目指す方針を示してきました。2024年時点の個人投資家向け会社説明資料でも、株主還元方針や連続増配について説明されています。

こうした方針は企業の姿勢を知る手掛かりですが、経営方針が変わったり利益が落ち込んだりすれば、見通しも変わります。営業利益、投資負担、自己資本、配当金の推移を確認しましょう。

また、最新の株価と現在の配当方針は2025年6月時点とは違う可能性があるため、過去のモデルで採用されたという理由だけで現在の投資判断をしないことが重要です。

竹本容器の除外と竹内製作所の比率低下は同じ意味ではない

第80回では、竹本容器の除外と竹内製作所の比率低下が同時に行われましたが、理由は異なります。

竹本容器は、容器・包装などに関係する企業です。元投稿では、当時の他の候補と比べた増配余地などを踏まえ、新規モデルの構成から外す考え方が示されました。企業に重大な不祥事があった、倒産の危険が高まったなどと断定できる根拠ではありません。

一方、竹内製作所は欧米など海外で建設機械を販売しているため、住宅・建設需要、設備投資、為替といった要因の影響を受けやすい事業です。保有比率を下げるのは、企業への評価をすべて否定する行為ではなく、一つの銘柄や景気要因へ資産を集中させすぎないための調整です。

例えばポートフォリオの20%を海外景気に敏感な製造業へ投資していた場合、それを10%へ引き下げれば、当該要因による影響は一定程度小さくなる可能性があります。しかし、値動きの相関や市場全体の下落によって分散効果が薄まることもあります。

企業の購入候補としての魅力と、保有割合としての適正さを分けて判断しましょう。

概算利回り4.19%から考える年間配当金

元投稿のモデル利回り4.19%は、当時の株価と配当予想、銘柄ごとの配分に基づく参考値です。現在の株価で同じ銘柄を購入しても再現できるとは限りません。

仮に税引前で4.19%の配当利回りが実現した場合、単純計算の配当金は次のようになります。

仮定した投資元本年間配当(税引前)
30万円12,570円
100万円41,900円
300万円125,700円
1,000万円419,000円

実際の受取金額は各銘柄の購入単位、株価、減配・増配、税金、保有比率などによって変わります。

昨年の増配率を将来へ延長しない

元投稿では、当時のモデル構成企業について、ある年度の配当増加が多く見られたと説明されました。増配18社・維持6社・減配1社という集計と、モデル全体の増配率が約13%だったという参考情報です。

これは対象銘柄や期間を限定した元投稿独自の集計であり、日本企業全体の増配率を意味しません。加えて、翌年度の増配ペースは約4%に落ち着くとの予想も示されていました。

毎年13%ずつ配当が増えると仮定して資金計画を組むのは危険です。収益の悪化や配当性向の上昇によって増配が止まることもあります。配当が減っても生活費を確保できるよう、家計管理と生活防衛資金を優先しましょう。

米国高配当ETF・米国債券ETFとの比較

元投稿では、米国株の価格評価や政府債務、関税などへの不安を背景に、米国高配当株と米国債券・社債ETFの比較も話題になりました。

ここで注意したいのは、株式と債券の「利回り」を同じ意味で扱わないことです。

米国の高配当株ETFは株式へ投資する商品です。分配金の額は組入企業の利益やETFの運用ルールによって変わります。株価の値下がりリスクもあります。

AGGは幅広い米ドル建ての投資適格債券、LQDは主に米ドル建て投資適格社債を対象とするETFで、元本保証ではありません。金利上昇や信用状態の悪化で債券価格は下落します。日本円で生活している場合、為替変動によって円換算の損益も変わります。

「債券なら安定して年4~5%必ず受け取れる」とは断定できません。市場金利、購入価格、分配額、為替、費用などによって実際の利回りは異なります。

海外資産を購入するときは、現金が必要になる時期や、円高・円安で評価額が大きく動いても生活に支障がないかを確認することが必要です。

日本株なら為替リスクがゼロというわけではない

日本の証券取引所で円建て売買する株式は、米ドル建てのETFと違い、購入時に自分で両替する必要がないことがあります。しかし、日本企業でも海外事業の売上や利益、輸入原材料などを通じて為替の影響を受けます。

シーティーエスや立川ブラインド工業のような国内事業中心の企業であっても、輸入部材の価格や国内建設投資を通じて間接的な影響が出る場合があります。

円建てで保有していることと、投資先企業が為替に影響されないことを混同しないようにしましょう。

配当控除とNISAを調べるときの注意点

高配当株投資の魅力として、配当控除を通じて税金の負担が軽くなる場合があることも挙げられます。ただし、誰でも同じ税率まで下がるわけではありません。

所得税と住民税、総合課税・申告分離課税などの選択、所得水準、扶養・社会保険への影響によって結果が異なります。外国株式の配当などには日本株の配当控除と異なる取り扱いがあり、個別の確認が必要です。

NISAで国内上場株式の配当金を非課税で受け取るには、原則として証券会社経由で配当を受け取る「株式数比例配分方式」が必要です。口座を開設するだけでどのような受取方法でも自動的に非課税になるわけではありません。

参考:金融庁・NISAを知る、国税庁・配当所得。

初心者向け:モデルを見てから買うまでの確認手順

  1. 緊急時の生活費を現金で確保し、借入返済など家計の優先事項を整理する。
  2. 投資に使える元本を決め、配当収入を何に使いたいかを明確にする。
  3. 採用された企業の事業、顧客、利益の源泉を説明できるようにする。
  4. 過去と現在の株価を混同せず、現在の年間配当予想から利回りを計算する。
  5. 配当性向が利益減少によって上がっていないか、EPSと併せて確認する。
  6. 営業キャッシュフローと設備投資、借入金の推移から還元余力を考える。
  7. 業種、海外売上、金利、景気、原材料など共通要因に偏っていないか点検する。
  8. モデルの追加・除外は勉強用の判断事例であり、売買指示ではないと理解する。

比較する場合は、2025年5月モデル、2025年4月モデルも参考にしてください。配当金の仕組みがまだ分からない場合は、高配当株投資の基本ガイドから確認できます。

よくある質問

Q.2025年6月モデルに新しく加わった会社は?

シーティーエス(4345)と立川ブラインド工業(7989)の2社です。同時に竹本容器を新規モデルから外し、竹内製作所の投資比率を下げました。これは当時のモデル構成であり、現在の購入推奨ではありません。

Q.4.19%の配当利回りは毎年保証されますか?

保証されません。2025年6月当時の株価、配当予想、銘柄配分に基づく参考値です。株価や配当が変われば利回りも変わり、元本割れや減配もあります。

Q.配当性向が50%を超えたら売却するべきですか?

一律には判断できません。事業の利益や設備投資、借入金、営業キャッシュフローを確認する必要があります。配当性向が高くても維持可能な企業と、低くても減配リスクがある企業があります。

Q.国内中心の企業を増やせば為替の影響はなくなりますか?

為替の直接的な影響を減らせる場合はありますが、材料の輸入コストや国内景気を通じて間接的に影響することがあります。完全にゼロにはなりません。

Q.累進配当を掲げる企業は減配しない?

累進配当は維持・増配を目指す企業の方針で、将来の配当を保証する契約ではありません。業績悪化や財務上の事情で方針が変更されることがあります。

Q.米国債券ETFと日本の高配当株はどちらが安全?

株式には業績・株価・減配リスクがあり、債券ETFには金利・信用・為替リスクがあります。どちらも元本保証ではありません。必要な現金の時期、投資期間、損失許容度で比較してください。

まとめ:モデルの数字よりも配当を続けられる理由を知る

2025年6月の高配当株モデルでは、相場が反発するなかで配当性向の上昇や利益見通しの変化に注意し、国内需要に関連する2社を追加しました。竹本容器の除外、竹内製作所の比率低下は、過去に採用した企業の価値をすべて否定することではなく、増配余地や景気感応度を踏まえたモデルの見直しです。

当時の概算利回り4.19%や増配率は、将来の運用成果を保証しません。利回りの高さだけでなく、企業の事業、EPS、配当性向、現金を稼ぐ力、保有比率の偏りを確認することが、長期的に配当を受け取るための大切な考え方です。

本記事は独立した個人運営の非公式メディアによる情報提供・投資教育目的の解説です。個別銘柄の売買勧誘ではなく、元本・配当・運用成果を保証しません。最終判断は最新の一次資料を確認のうえ、ご自身の責任で行ってください。

参考資料と確認日

元投稿日:2025年6月3日。市場指標の基準日:主に2025年5月30日。公開資料の確認日:2026年10月19日。