2025年3月のモデルで注目したいのは「理由のある入れ替え」
高配当株を始めようとすると、まず配当利回りが高い銘柄に目が向きがちです。しかし、利回りが上がった理由が「増配」なのか「株価の下落」なのかによって、投資の意味は大きく変わります。
2025年3月4日付の高配当株マガジン第71回では、2025年2月の厳しい日本株市場を振り返り、新たに高配当株のモデルポートフォリオを組む場合の例が示されました。
前月モデルからの変更は、芝浦電子(6957)を新規候補から外し、建設機械メーカーの竹内製作所(6432)を加えるというもの。多くの銘柄を入れ替えるのではなく、個別の価格変動と事業特性に着目した調整です。
当時のモデルは概算配当利回り4.17%と紹介されました。しかし、この数字は2025年3月当時の構成、株価、予想配当に基づくもので、2026年現在の投資利回りを示すものではありません。
この記事では、過去のモデルを現在の購入リストとして紹介するのではなく、「なぜ候補を変更するのか」「景気敏感企業を加える場合の注意点は何か」を中心に、初心者向けに独自の文章で整理します。
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※この回の元投稿は2025年3月4日。市場データの基準日は原則2025年2月28日です。公開資料の確認日は2026年10月19日。元本割れ、減配・無配、為替変動、金利変動などがあるため、最新の株価・企業IR・税制を確認してご自身で判断してください。
日経平均は前月から約6.1%下落した
2025年2月28日の日経平均株価は37,155.50円でした。2025年1月末の39,572.49円から2,416.99円、率にして約6.10%下落しています。
日本経済新聞社の日次サマリーに掲載された同日のPER・PBRは次のとおりです。
| 指標 | 2025年2月末の数値 | 確認方法 |
|---|---|---|
| 日経平均株価 | 37,155.50円 | 2025年2月28日終値 |
| 前月末比 | −2,416.99円 | 約6.10%の下落 |
| PER(加重平均) | 14.83倍 | 公式日次資料 |
| PBR(加重平均) | 1.36倍 | 公式日次資料 |
| 米ドル/円 | 150.60円 | 元投稿に掲載された当時の参考値 |
| 日経高配当株50の利回り | 4.27% | 元投稿の参考値、同条件での再照合は未完了 |
| 配当利回り3.75%以上の企業 | 865社 | 元投稿独自の条件による集計 |
出典:日経平均プロフィル・2025年2月28日の日次サマリー、日経平均プロフィル・2025年2月の指数リポート。
なお、元投稿の円相場・高配当株指数の利回り・対象企業数は、集計時刻、対象銘柄、配当予想などの条件を外部の一次資料で完全には再現できていません。確定した市場の公式統計として扱わず、当時の相場感を学ぶ参考値としています。
なぜ2月の日経平均は大きく下落したのか
日経平均の公式月報によれば、円高・ドル安の進行や、米国の関税政策をめぐる不透明感が自動車など輸出関連銘柄の重荷になりました。2月28日には一時36,840円台まで下落しています。
日本の輸出企業は海外で稼いだ外貨を円へ換算します。円高になると、外貨建ての売上や利益が同じであっても円換算額が小さくなることがあります。ただし、すべての日本企業が円高で損をするわけではありません。輸入原材料を多く使う企業には逆に追い風となる場合もあります。
米国の関税政策をめぐる予想も株価に影響しましたが、当時の市場参加者の予想と、その後に実際に決まった政策は分けて理解する必要があります。
このように株価指数が大きく下がると、株式投資は怖く感じるかもしれません。しかし、指数全体の下落率をそのまま自分の保有銘柄すべてに当てはめるのは適切ではありません。
高配当株の下落率が小さく見えた理由
元投稿では、2025年2月の日本の高配当株指数がほぼ横ばい、米国高配当株指数は約1.3%上昇したという参考比較が紹介されています。
日経平均の公式月報でも、2025年2月は高配当株への配当取りの需要が見られ、日経平均高配当株50指数が月中に比較的強い推移を示した旨が記載されています。
ただし、元投稿で比較した指数の正確な計算条件や配当再投資、円換算の有無は一律にはそろっていないため、厳密な運用成績の優劣として断定することはできません。
また、たまたま下落が小さかった期間があっても、高配当株なら将来の暴落を避けられる保証はありません。保険、銀行、不動産、資源関連などは金利や景気の変化で同時に下落することもあります。
2025年3月モデルで入れ替えた2銘柄
第71回の新規ポートフォリオ例では、前月モデルから次の変更がありました。
| 区分 | 対象銘柄 | 当時の判断理由 |
|---|---|---|
| 新規候補から除外 | 芝浦電子(6957) | 海外企業による買収提案に伴う株価上昇で新規購入時の配当利回りが低下 |
| 新規候補へ追加 | 竹内製作所(6432) | 小型建機の競争力、財務・収益性、長期的な株主還元の可能性 |
| 当時のモデル利回り | 約4.17% | 2025年3月時点の概算。現在の予想利回りではない |
前月の詳しい構成については、2025年2月モデルの記事を参照してください。
銘柄を追加・除外した理由と、すでに保有している人が売買する理由は同じではありません。元投稿でも「これから新しく投資する人のモデルから外した」という趣旨であり、過去に購入した保有者へ売却を指示するものではありませんでした。
高配当株投資は、取得時の株価、企業の利益、今後の配当方針によって長期的な結果が異なります。過去のモデルを機械的に模倣するのではなく、いまの価格で新しく買う意味を考えることが必要です。
芝浦電子(6957)が除外された理由を理解する
芝浦電子はサーミスタなど温度センサー関連部品を手がける企業です。2025年2月5日、台湾の電子部品メーカーYAGEOによる完全子会社化を目的とする公開買付け開始予定が公表されました。
買収提案が報道・発表されると、買付け価格を意識して株価が大きく変動する場合があります。
例えば、年間配当が100円で株価が2,500円なら配当利回りは4%です。しかし同じ100円の予想配当でも、買収提案で株価が4,000円まで上がれば、新しく購入する人の利回りは2.5%に下がります。
| 株価 | 年間配当100円の仮定 | 新規購入時利回り |
|---|---|---|
| 2,500円 | 100円 | 4.0% |
| 3,000円 | 100円 | 約3.33% |
| 4,000円 | 100円 | 2.5% |
これは一般的な仕組みを示した架空の計算で、芝浦電子の実際の当時の株価・配当額ではありません。
買収提案が出ても、買付けの成立や最終価格が必ず確定するわけではありません。対抗提案、規制当局の承認、応募条件などで結果が変わります。
実際、芝浦電子に関する2025年の買収案件はその後も進展がありました。2025年2月時点の判断を説明するときは、その後の情報を当時すでに確定していたように扱わないことが重要です。
参考:YAGEOによる2025年2月5日の公開買付け開始予定に関する発表、ミネベアミツミによる2025年5月1日の公開買付け開始の発表。
後者は2025年3月のモデル投稿より後の資料であり、当時の投資判断の根拠ではなく、買収提案は後から状況が変わることを示す補足資料として掲載しています。
竹内製作所(6432)は何をしている会社?
竹内製作所は、ミニショベルやクローラーローダーなど、小型建設機械を製造・販売する企業です。海外市場、とりわけ欧米での販売が事業の重要な部分を占めています。
小型ショベルは、住宅建設、道路工事、管路工事など、限られた作業スペースで掘削が必要な場面に用いられます。大型建機より小回りが利く一方、建設需要や設備投資の影響を受けるという特徴があります。
元投稿で注目されたのは、収益性や成長性、財務の強みと、景気敏感株ならではの弱点の両方です。
景気が好調な時期には建設機械への需要が増え、売上や利益が伸びることがあります。しかし、金利上昇や景気後退によって住宅着工・設備投資が減少すると、顧客が建機の購入を延期する可能性があります。
企業の過去の好調な数字だけを見て「不景気でも利益が安定する」と考えないようにしましょう。元投稿では、過去の世界金融危機の際に赤字が続いた時期があったことも、景気敏感性を説明する材料として扱われています。
最新の事業と財務は、竹内製作所の公式IR情報や株式基本情報で確認できます。
収益性が高くても景気変動リスクは消えない
景気敏感株は、利益が急増する局面と急減する局面の差が大きくなる場合があります。
例えば、年間売上高が1,000億円、営業利益率が15%なら営業利益は150億円です。その後売上が800億円となり、固定費負担などで営業利益率が8%へ低下すれば、営業利益は64億円に落ちます。売上が20%減っただけでも、営業利益は約57%減少する計算です。
この数字は竹内製作所の業績を予測するものではなく、製造業の利益変動を説明する架空の例です。製造ラインや工場、販売網など固定費のかかる事業では、売上の増減以上に利益が変動することがあります。
一方、財務の余裕がある企業は、不景気のときも設備投資、研究開発、仕入れなどを継続しやすい可能性があります。しかし、現金を多く持つ会社でも株価の下落や減配が起きることはあります。
決算を見るときに確認したいポイント
竹内製作所のような海外向け製造業を分析するなら、単純な配当利回りより前に次の数字を確認しましょう。
- 地域別売上:北米、欧州など、販売先の需要がどう変わっているか。
- 営業利益率:価格転嫁、部品調達、物流費、工場稼働率の変化。
- EPS(一株当たり利益):一時的な利益ではなく複数年での推移。
- 営業キャッシュフロー:利益が現金の裏付けを伴っているか。
- 棚卸資産:在庫の積み上がりが需要変化を示していないか。
- 研究開発・設備投資:将来の競争力維持に必要な支出。
- 年間配当・配当性向:景気悪化時にも継続できる水準か。
竹内製作所の2025年2月期決算短信では、2025年4月に公表された利益配分方針や、2026年2月期からの新中期計画に関連する株主還元方針の変更が確認できます。ただし、これは第71回の元投稿(2025年3月4日)より後の資料です。元投稿時点で既知だった内容として混同しないでください。
参考:竹内製作所・2025年2月期決算短信、竹内製作所・IRニュース。
「高配当」と「増配期待」は違う
同じ年間配当100円でも、株価が2,500円なら利回り4%、株価が4,000円なら2.5%です。これから買う場合の配当利回りは、将来の配当予想と買付け価格の関係で決まります。
成長株では利益が増え、将来的に配当が増える可能性があります。しかし、「増配できそう」という期待だけで今後の配当額が確定することはありません。
竹内製作所のような製造業では、海外需要や景気の変化、設備投資の負担、原材料高などが利益に影響します。増配の持続性を検討するなら、営業キャッシュフローや財務を合わせて見てください。
また、配当金が増えても株価が下落すれば、トータルリターンがマイナスになることがあります。配当利回りは投資成果を判断する一つの指標に過ぎません。
モデル利回り4.17%なら年間の配当金はいくら?
元投稿の2025年3月モデルは、概算配当利回り4.17%と説明されました。これは当時のモデルを条件にした参考値で、すべての銘柄を同じ比率で買えば必ず再現するというものではありません。
税引前4.17%と仮定した場合の単純計算は次の通りです。
| 元本の仮定 | 年間配当の単純計算 |
|---|---|
| 30万円 | 12,510円 |
| 100万円 | 41,700円 |
| 300万円 | 125,100円 |
| 1,000万円 | 417,000円 |
実際には購入単位、株価、配当の修正、税金、保有比率などで手取りは異なります。年間配当が維持されるという保証もありません。
また、生活費をまかなうことを目的にするなら、配当の金額だけでなく「減配が起きても困らないか」「生活防衛資金を確保できているか」を考える方が先です。
元投稿で触れられた年間80万円という配当目標を例にすると、税引前4.17%を仮定した単純計算では約1,918万円の元本が必要になります。非課税口座ではない場合、税金を差し引いて80万円を手元に残すために必要な元本は条件次第でさらに増えます。
高配当株投資を始めるために借金をしたり、家計の生活費を無理に削ったりすることは避けましょう。
米国高配当ETFと債券ETFの比較
当時の投稿では、米国高配当ETFのVYM、HDV、SPYDと、債券ETFのLQD、AGGについても比較されていました。
VYMなどの株式ETFは企業の配当と値上がり益を期待する商品です。一方、債券ETFは多数の債券を保有し、金利や発行体の信用力に価格が左右されます。
LQDは米ドル建て投資適格社債を中心に組み入れ、AGGは米国債を含む幅広い米ドル建て投資適格債券を対象とするETFです。どちらも「アメリカ政府の国債だけを保有する、元本保証の商品」ではありません。
当時の投稿の参考値ではLQDの利回り約4.3%、AGG約3.7%、VYM約2.6%が比較されていました。ただし、これは2025年3月当時の参考数値であり、現在の分配金利回りではありません。
米国の債券ETFを円で持つ人にとっては、金利による債券価格の変化に加え、円高・円安による為替リスクもあります。高い利回りだけで選ばず、保有期間、値下がり許容額、税金、信託報酬、為替ヘッジの有無まで確認しましょう。
日本株は円で買えるから為替リスクがない?
国内上場株式は円で売買できることが多いため、ドルへ両替する手間がありません。しかし、日本企業の海外売上や輸入原材料は為替相場の影響を受けます。
竹内製作所のように欧米市場の需要が重要な会社では、円で購入する国内株式であっても、海外景気や為替が利益に関係します。
「直接の外貨換算が不要」という特徴と「企業の利益が為替から影響を受けない」という意味を混同しないようにしてください。
世界株式インデックスと日本の高配当株を組み合わせる場合は、それぞれの資産がどの通貨や事業環境に依存しているかを確認すると、見た目以上の偏りに気付きやすくなります。
配当控除・NISAを検討するときの注意点
元投稿には、配当控除で税負担が下がる場合があるという説明もありました。ただし、誰でも税率が一律7%程度になるわけではありません。
配当控除の対象となる配当の種類、所得税・住民税の申告方式、その他の所得、扶養・社会保険への影響などによって結果が異なります。確定申告によって税金が減っても、社会保険料などに影響する場合があります。
NISAでは一定の条件を満たす上場株式の配当金が非課税となりますが、国内上場株式の配当金を非課税で受け取るためには、原則として「株式数比例配分方式」の選択などが必要です。
税制は時期によって変わるため、配当を受け取る前に国税庁・金融庁の最新資料を確認してください。
初心者がモデルから学ぶための確認手順
- 投資対象の資金を、毎月の生活費や緊急予備資金から分ける。
- 株価が下がった理由を、業績悪化・金利・為替・買収提案などに分けて考える。
- 買収提案の対象銘柄は、提案の成立条件・時期・価格が未確定な場合を想定する。
- 景気敏感企業は、景気がよい年だけでなく悪い年の利益や配当を調べる。
- 最新の年間配当予想から自分の取得予定価格で利回りを計算する。
- 業種・海外売上・金利への影響・不動産など共通リスクを分散させる。
- モデルの「除外」を、既存保有株を売れという指示として受け取らない。
- 目標配当額を設定しても、投資に無理な借入や生活費の取り崩しを使わない。
2025年2月モデルの解説と比べると、毎月の相場変化がモデルの見直しにつながることが分かります。
配当金、配当性向、分散投資などの基本から確認したい場合は、高配当株投資の基礎ガイドも参考にしてください。
また、2025年1月モデルの解説では、一時的な記念配当の扱いを中心に解説しています。
よくある質問
Q.2025年3月モデルで新たに追加された銘柄は?
竹内製作所(6432)です。芝浦電子(6957)を新規モデルから外し、竹内製作所を加えた構成でした。これは2025年3月4日の過去モデルであり、現在の購入推奨ではありません。
Q.芝浦電子が新規候補から外れたのは業績悪化が理由ですか?
元投稿では、買収提案に伴う株価上昇で新規購入時の配当利回りが低下したことが理由として示されました。モデルから外したことだけで、会社の経営状況が悪いと判断することはできません。
Q.竹内製作所は高配当株として安定していますか?
海外の建設機械需要や為替、景気によって利益が変動する可能性があります。成長性や財務が魅力に見えても、将来の配当額や株価の安定が保証されるわけではありません。
Q.株価が6%下がった月は買い時ですか?
市場全体が下がっただけで割安と判断することはできません。会社の利益見通しや金利、価格の水準、資金の使い道などを確認する必要があります。
Q.4.17%の利回りは毎年受け取れますか?
いいえ。2025年3月のモデルを一定の条件で集計した参考利回りです。現在の株価や配当、銘柄の構成が変われば数値も変化し、減配や元本割れが起こる場合があります。
Q.日本の高配当株と米国の高配当ETFはどちらがよい?
所得税・住民税、為替リスク、分散の程度、信託報酬、保有期間、取り崩し方針などによって変わります。どちらかが必ず有利とはいえません。
まとめ:モデル入れ替えは企業評価と価格評価の両方から考える
2025年3月の高配当株モデルでは、芝浦電子の買収提案に伴う株価上昇で新規取得時利回りが低下したことを考慮し、竹内製作所を追加しました。
当時は日経平均が月間約6.1%下落する一方、高配当株には比較的底堅さが見られる場面もありました。ただし、過去の相場の動きから「高配当株なら安全」とは結論づけられません。
竹内製作所は、海外の建設機械需要や景気の影響を受ける事業です。将来の増配可能性に目を向けると同時に、景気悪化時の損失、海外市場、為替や設備投資のリスクも確認することが必要です。
モデルを見て売買を急ぐのではなく、企業の利益、配当の持続性、分散効果、購入価格を一つずつ検証することが、長期の資産形成に役立ちます。
※本記事は情報提供・投資教育を目的とし、特定の金融商品・個別銘柄の購入・売却を勧誘するものではありません。利益・元本・配当金を保証せず、最終判断は最新資料を確認したうえでご自身の責任でお願いします。
参考資料と確認日
- 高配当株マガジン第71回(2025年3月4日):会員向け高配当株マガジンチャット。モデル構成と当時の相場観を確認し、独自の文章へ再構成。
- 日経平均プロフィル・2025年2月28日の日次サマリー:終値・PER・PBR。
- 日経平均プロフィル・2025年2月の指数リポート:市場の下落要因。
- 竹内製作所・株式基本情報:上場区分・銘柄コード。
- 竹内製作所・2025年2月期決算短信:元投稿後に発表された資料として補足。
- YAGEOによる芝浦電子への公開買付け開始予定の公表資料:買収提案の時系列。
- 国税庁・上場株式等の配当等、金融庁・NISAを知る:税制・制度。
市場数値の基準日:2025年2月28日。元投稿:2025年3月4日。公開資料の確認日:2026年10月19日。