2025年2月モデルのポイントは中・大型株への入れ替え

日本の高配当株投資では、単に配当利回りの高い企業を買うだけではなく、業種、財務内容、株価、配当を維持する力を組み合わせて検討することが重要です。株価が大きく動くときほど、「いま新しく購入する場合」と「以前から保有している場合」は分けて考えたいところです。

2025年2月4日に紹介された月次モデル(第68回)では、3銘柄を新規候補から外し、総合商社、損害保険、不動産の3社を加える構成が示されました。2025年1月末の日経平均39,572.49円を基準にした相場解説と、モデルの概算配当利回り約4.2%がテーマです。

今回の記事で確認したい内容は、次の4つです。

  • コンドーテック、昭和システムエンジニアリング、パラマウントベッドの除外が、保有者への売却指示ではない理由。
  • 三菱商事、MS&ADインシュアランスグループホールディングス、ヒューリックの事業と主なリスク。
  • 日米金利、為替、米国高配当ETFの比較を、配当利回りだけで決めない方法。
  • 高配当株、J-REIT、債券ファンドを組み合わせる場合の注意点。

本記事は、会員向けの高配当株マガジンのテーマを確認し、政府・市場・企業の公開資料で検証しながら独自に再構成した、資産形成ナビによる非公式の学習記事です。元投稿の文章・会員向け図版・モデルの個別持株数は転載していません。

※本記事のモデルは2025年2月4日の過去資料です。相場指標は主に2025年1月31日時点を使用し、公開資料は2026年10月19日に再確認しました。現在の株価や配当利回りとは異なり、特定の金融商品の購入・売却を推奨するものではありません。元本割れ、減配・無配、金利・為替変動などのリスクがあります。

2025年1月末の相場:日経平均は約0.8%下落

2025年1月31日の日経平均株価は39,572.49円。前月末の39,894.54円から322.05円、率にして約0.81%下落しました。日経平均プロフィルが公開した同日の日次データによると、加重平均PERは16.09倍、加重平均PBRは1.46倍です。

項目2025年1月末の数値補足
日経平均の終値39,572.49円1月31日
前月末比−322.05円約0.81%の下落
PER(加重平均)16.09倍同日の日経平均データ
PBR(加重平均)1.46倍同日の日経平均データ
米ドル/円155.18円元投稿の当時の参考値
日経高配当株50利回り4.18%元投稿の参考値。指数計算条件の再照合未了
利回り3.75%以上の企業766社元投稿の独自集計。集計条件で変動

日経平均の終値・PER・PBRは日経平均プロフィルの日次サマリーで確認しました。

一方、為替、日経高配当株50の配当利回り、該当企業数は、会員投稿で紹介された当時の参考値です。算出対象、予想配当、株価の採用時点などの条件がそろう外部一次資料による完全な再照合はできていません。現在の数値として扱わないでください。

月次の日経平均リポートでは、関税政策をめぐる不透明感、1月下旬の日銀の政策決定を控えた利上げ警戒、AI関連株の値動きが相場に影響したと説明されています。市場が下落した理由を、たった一つのニュースへ決めつけることはできません。

参考:日経平均プロフィル・2025年1月の指数リポート。

配当株指数と日経平均は同じ動きをしない

当時の投稿では、2025年1月の高配当株指数の月間騰落率を日本約−0.8%、米国約+3.7%と比較していました。指数の採用銘柄、配当再投資、通貨換算を同じ条件にそろえて確認できていないため、ここでは元投稿で示された市場の雰囲気を知る参考値として扱います。

比較の際は、米国株の値動きにドル円の変化を加えて日本円の実質的な運用成果を確認する必要があります。また、日経平均の価格指数と、配当を含むリターンをそのまま比べても公平ではありません。長期の投資成果を見るなら、配当、手数料、税金、為替を含めた条件をそろえましょう。

3銘柄を除外、3銘柄を追加した理由

元投稿の新規ポートフォリオ例は、2025年1月モデルに比べて次の変更がありました。

区分銘柄理由・着眼点
新規モデルから除外コンドーテック(7438)当時の新規購入時利回りが約3.4%台で再検討対象に
新規モデルから除外昭和システムエンジニアリング(4752)同じく新規取得利回りとセクター配分を検討
新規モデルから除外パラマウントベッドHD(7817)当時の購入価格と期待する利回りを見直す
新規モデルへ追加三菱商事(8058)総合商社・複数事業への収益分散
新規モデルへ追加MS&ADインシュアランスグループHD(8725)損害保険・金融分野を組み入れる
新規モデルへ追加ヒューリック(3003)オフィスなどの不動産賃貸事業

元投稿では、除外3社について当時の利回りが約3.4%台に低下したことを理由の一つとし、利回り4%を超える中・大型株を採用する見方が示されていました。

ただし「新規モデルからの除外」は、「すでに持っている株を売った方がよい」という判断とは異なります。昔の安い取得価格で保有している人と、新しく買う人では、配当利回りに対する条件が違うためです。

例えば年間配当100円の株を2,500円で取得すれば、取得価額に対する年間利回りは4.0%です。その後株価が2,950円になると、これから買う人の利回りは約3.39%です。会社が同じでも購入した時期によって受け取る配当金の割合が違います。

過去のモデルを2026年現在の売買リストとしてそのまま使わないことが、もっとも重要な注意点です。

三菱商事(8058)は総合商社ならではの強みとリスク

三菱商事はエネルギー、資源、食品、電力、社会インフラなど幅広い領域で事業を展開する総合商社です。1社の株式でも複数分野の収益がある点は特徴ですが、資源価格や世界景気、為替、投資先事業の成績の影響を強く受ける場合があります。

元投稿では、当時の高値から株価が大きく下落したことで、配当利回りが上昇し、購入価格の観点で検討しやすくなったという見方が紹介されていました。株価が下落したことだけで割安とは限らず、景気や企業利益の見通しが変わっていないかを確認する必要があります。

資源関連事業は利益が大きくなる年もありますが、原油、銅、鉄鉱石などの価格が下落すれば業績に影響します。また、海外事業による円換算の利益変動もあります。

初心者が確認したいのは、事業別利益の構成、キャッシュフロー、自己資本、投資計画、株主還元方針です。特に、大型のM&Aや資源投資で資金が大きく動くこともあるため、安定配当を無条件に期待するのは避けましょう。

最新の会社情報は三菱商事の株主・投資家情報から確認できます。

MS&AD(8725)は損害保険の利益をどう見る?

MS&ADインシュアランスグループホールディングスは、国内外の損害保険事業などを展開する企業グループです。損害保険は、自動車事故、火災、自然災害、企業の事業リスクなどに備える仕組みを提供します。

顧客から受け取る保険料をもとに事故や災害時の保険金を支払うため、保険料収入だけでなく保険金支払い、損害率、契約引受の採算、資産運用が重要です。大規模な台風や地震、世界各地の災害によって収益が大きく変動する可能性もあります。

さらに、保有株式や債券の評価、保険引受の規律、金融市場の動向なども企業価値に影響します。金利が上がると運用収益にプラスの面がありますが、金利変化による評価損などもあるため、「金融株は利上げで必ず上がる」とは言えません。

MS&ADでは普通配当だけでなく、特別配当、自己株式取得、政策保有株式の売却益などが株主還元の議論に含まれます。特別配当は通常の配当と同じペースで続くとは限らず、配当の持続性を確認する際は区別が必要です。

参考資料:MS&ADの株主還元を含む2025年度説明資料。これは元投稿後に公表された資料なので、2025年2月時点で既知だった情報として取り扱わないでください。

ヒューリック(3003)は不動産賃貸の何が魅力?

ヒューリックは、都心のオフィスビルをはじめとする不動産を保有・運用する企業です。賃貸契約から継続的な収入を得られる事業モデルには一定の安定性がありますが、収益や株価が保証されるわけではありません。

金利が上がると借入金の調達コストが増えたり、不動産の評価に影響が出たりします。賃貸需要、空室率、賃料、建物の修繕費、物件取得の価格も長期的な利益を左右します。

ヒューリックは企業の公式サイトで、事業基盤の強化に必要な内部留保と株主還元の両立、安定的な配当継続を基本方針としています。これは目指す方針であり、将来の増配や価格上昇を保証するものではありません。

確認先:ヒューリックの配当金・配当性向。

不動産株とJ-REITは重なりに注意

不動産株とJ-REITは投資形態こそ違いますが、金利、オフィス市況、不動産価格、賃料など同じ要因で価格が動く場合があります。ヒューリックなど不動産株を保有している人がJ-REITも多く買えば、資産全体が不動産に偏る可能性があります。

持株数が分散しているように見えても、経済環境が悪化したとき同時に下がる資産を多く保有していないか確認することが必要です。

モデルの配当利回り4.2%を過信しない

元投稿では、数十の企業・資産に分散したモデルの概算配当利回りが約4.2%と説明されていました。この利回りは2025年2月当時のモデル構成と配当予想に基づいた参考値であり、2026年現在も同じ数字になるとは限りません。

たとえば税引前利回り4.2%を仮定すれば、投資元本100万円あたりの配当金は年間42,000円です。

仮定した投資元本年間配当4.2%の単純計算
30万円12,600円
100万円42,000円
300万円126,000円
1,000万円420,000円

実際には、税金、単元株数、配当の修正、株価、保有商品によって受け取り金額が変わります。株価が下がれば受け取った配当を含めても元本割れする場合があります。

また、一時的な特別配当や記念配当が含まれていれば翌年の額が減る可能性があります。表面上の利回りよりも、利益・営業キャッシュフロー・配当性向・財務を確認することが大切です。

なぜ米国の高配当ETFを慎重に考えたのか

第68回では、米国の高配当ETFであるVYM、HDV、SPYDなどの当時の利回りについても触れられていました。元投稿では、VYMの利回りが約2.6%である一方、米国債券の利回りが相対的に高いという比較が取り上げられています。

これは2025年2月当時の評価であり、現在のETFの価格や分配金利回りではありません。また、企業の株式をまとめた高配当ETFと債券ETFは、将来の値動きと収益の出方が異なります。

債券ファンドの一例としてLQDやAGGが挙げられていました。LQDは主に米ドル建て投資適格社債、AGGは米国の投資適格債券市場全体を幅広く組み入れるETFで、どちらも「米国政府の国債だけを持つファンド」ではありません。

債券であっても金利変化により市場価格は変動し、円建てでの評価には為替も影響します。安全資産と考えて価格下落が起きないと思うのは危険です。

米国株や債券への投資を比較する際は、受取通貨、分配金にかかる税金、経費率、信用リスク、金利感応度、為替リスク、保有期間をそろえましょう。

「日本株なら為替リスクなし」という表現には注意

国内証券取引所に上場し、円で売買する株式は、投資家が直接ドルへ換える必要がない場合があります。しかし、企業自体が海外で稼いでいれば、円高・円安による利益変動は起こり得ます。

総合商社のように海外に大きな事業を持つ企業では、円で買う日本株であっても為替リスクを間接的に負います。したがって、国内株であれば為替の影響がまったくないと説明するのは適切ではありません。

また「日本の高配当株は下落リスクが低い」と決めつけることもできません。高配当株にも業績悪化、減配、金利上昇、信用不安などがあり、株価が大きく下落することがあります。

配当控除と税金は誰でも同じではない

元投稿では配当控除を使って所得税や住民税の負担を抑える可能性も話題になっていました。ただし、誰でも実効税率が一律の数字まで下がるわけではありません。

配当控除の対象になる配当の種類、課税方式、所得金額、住民税、扶養や社会保険への影響などにより、結果は異なります。NISA口座で配当金を非課税で受け取る場合も、原則として株式数比例配分方式などの要件があります。

税金だけを減らしても、健康保険料や扶養判定への影響により手取りが増えない場合があります。確定申告をするかどうかは、税務署や自治体、公的資料の最新情報を確認したうえで判断してください。

参考:国税庁・上場株式等の配当所得、金融庁・NISA。

年間80万円の配当金を目指す前に必要なこと

当時の投稿には年間80万円程度の配当収入を目標とする考え方も登場しました。月額に換算すると約6万6,667円で、毎月の生活を支える収入として魅力があります。ただし、必要な投資元本は大きくなります。

税引前4.2%で単純計算すると、年間80万円の配当金にはおおむね1,905万円の元本が必要です。これは実際に投資すれば80万円を受け取り続けられるという意味ではありません。税引後の目標なら必要額はさらに変わります。

現在の家計に無理をしてまで投資額を増やすことは避けましょう。借入金の返済、緊急予備資金、保険や年金などの制度を確認した上で、投資に回せる余裕資金を考えるのが先決です。

配当金だけで必要な生活費を賄う方法にこだわらず、低コストのインデックス投資信託を保有し、必要に応じて一部売却して使う方法も比較すると、選択肢が広がります。

初心者が過去モデルから学ぶ確認手順

  1. 生活防衛資金を確保し、投資額が生活費や返済に影響しないか確認する。
  2. 銘柄名だけでなく、どの事業が利益を生むのか説明できるか確認する。
  3. 直近の決算、売上、EPS、配当性向、営業キャッシュフローを調べる。
  4. 特別配当、記念配当、政策保有株売却など一時的な利益が含まれていないか調べる。
  5. 現在の株価と最新の配当予想から新規取得時の利回りを計算する。
  6. 各銘柄の金利・為替・資源価格・災害などの共通リスクを確かめる。
  7. すでに保有する株式やJ-REITと業種が重なり過ぎていないか検討する。
  8. 追加・除外を売買指示だと思わず、保有目的と自身のリスク許容度を優先する。

前月の記事は2025年1月のモデルポートフォリオ解説、過去の金利環境は2024年12月モデルの解説で比較できます。基礎用語は高配当株投資の基本を参考にしてください。

よくある質問

Q.2025年2月モデルでは何が変わった?

コンドーテック、昭和システムエンジニアリング、パラマウントベッドを新規モデルから外し、三菱商事、MS&AD、ヒューリックの3社を追加した構成です。当時の概算配当利回りは約4.2%でした。

Q.除外された企業は今すぐ売ったほうがよい?

新規で購入する場合の利回りと、すでに保有している人の取得時利回りは異なります。除外は売却指示ではなく、現時点の保有目的や業績を別に考える必要があります。

Q.大型株は小型株より安全?

企業の規模だけでは安全性は判断できません。大企業でも世界景気、資源価格、災害、金利などの変化で大きく値下がりする可能性があります。小型株では流動性や経営の集中など別のリスクがあります。

Q.2025年2月の約4.2%の配当利回りは今も再現できる?

過去の構成と株価・配当予想に基づく参考値です。2026年現在の株価や配当状況とは異なるため、同じ利回りを得られる保証はありません。

Q.米国債券ETFの方が配当株より低リスク?

債券ETFも金利・信用・為替の変動によって価格が下がることがあります。運用対象や償還の有無なども違うため、株式より必ず安全という結論にはなりません。

Q.NISAと配当控除はどちらが得?

課税口座とNISA口座では税務の取り扱いが異なります。所得、受取方法、保有商品の種類によって結果が変わります。公的資料を確認し、ご自身の状況に合わせて選択してください。

まとめ:利回りと分散はセットで考える

2025年2月の高配当株モデルでは、当時の購入時利回りが低下していた3社を外し、三菱商事、MS&AD、ヒューリックを新規候補に加えました。商社、保険、不動産という異なる収益源を持つ企業を組み合わせながら、モデルの当時の概算配当利回りを約4.2%とする考え方です。

ただし、企業の規模や利回りだけで配当の持続性は保証されません。商社なら資源・世界景気、保険なら災害と資産運用、不動産なら賃料・金利と、異なるリスクを理解して分散することが必要です。

過去のモデルをそのまま再現するのではなく、最新の決算・配当・株価を調べ、自分の家計と保有資産に合うかを判断しましょう。

※この記事は独立した非公式メディアによる情報提供・投資教育目的の解説です。特定金融商品の購入・売却を勧誘するものではなく、将来の利益・配当・元本を保証しません。最新資料を確認したうえで、最終的な投資判断はご自身の責任で行ってください。

参考資料と情報基準日

相場の基準日:主に2025年1月31日。元投稿:2025年2月4日。公開資料の確認日:2026年10月19日。