2024年11月のモデルから学べる大切なこと

配当利回りが高い株を探していると、利回りが5%ある会社に目が向きやすくなります。一方、3%台の銘柄なら「高配当株としては物足りない」と感じるかもしれません。

しかし高配当株投資で大切なのは、その年の数字だけを競うことではありません。利益と財務に無理がない企業をさまざまな業種から選び、配当を長く受け取れる可能性を高めることです。高い配当利回りが株価の下落によって生じているのか、持続的な利益成長から生じているのかを考える必要があります。

2024年11月5日に配信された高配当株マガジン第59回は、前月からコンドーテックと村上開明堂をモデルに加え、新規購入時の利回りよりも、長期的な企業の質やポートフォリオのバランスを優先する見方を示した回でした。

この記事は当時の内容を学習用に独自の文章で再構成し、公開された指数情報や企業のIR資料を補ったものです。会員向けの原文・図表は転載していません。資産形成ナビは独立した非公式メディアであり、公式の運営元ではありません。

※本記事の相場・モデルに関する数値は原則として2024年10月31日時点、元投稿は2024年11月5日です。2026年10月19日に公開資料を確認して編集しました。当時の銘柄構成・株価・利回りを現在の売買推奨として使わないでください。株式やJ-REITには元本割れ、減配・無配、為替や金利などのリスクがあります。

2024年10月末の日本株は、1か月で約3%上昇

まず当時の相場から確認します。2024年10月31日の日経平均株価は39,081.25円でした。前月末の37,919.55円から1,161.70円、約3.06%の上昇です。日経平均プロフィルが公開した月次解説でも、この数値を確認できます。

指標2024年10月末の参考値確認のポイント
日経平均株価39,081.25円2024年10月31日終値
前月末比+1,161.70円約3.06%の上昇
日経平均PER15.76倍元投稿の参考指標
日経平均PBR1.38倍元投稿の参考指標
米ドル/円152.03円元投稿時点の参考値
高配当株指数の配当利回り4.24%元投稿の参考値、現在値ではない

出典:日経平均プロフィル・2024年10月の指数解説

日経平均の終値・前月末比は日経の月次資料で確認済みです。PER・PBR・為替・高配当株指数の利回りは、元投稿に記載されていた当時の参考値を紹介しています。採用指数、算出時刻、予想利益の基準などを同じ条件にそろえた外部再照合は完了していないため、現在の割安判断には使いません。

市場全体が上昇していても、高配当株指数や個別の保有株が同じだけ値上がりするとは限りません。日経平均は構成銘柄や指数計算方法が高配当株指数とは異なります。自分が保有する企業の業績や配当方針は別に確認する必要があります。

「利回りの高い会社が増えた」は良い知らせなのか

当時の投稿では、年間配当利回り3.75%以上の候補が775社あり、前月より4社増えたという独自集計も紹介されていました。

ただし、この数値は市場全体の統一的な公式統計という意味ではありません。採用している市場区分、配当金の実績・予想の扱い、株価の計算日によって該当企業数は変わります。

そして、利回りが高くなった理由には注意が必要です。株価が下がった結果として利回りが上がる場合もあれば、企業が増配して利回りが高くなる場合もあります。前者では業績悪化を市場が織り込んでいる可能性もあるため、単に利回りが4%を超えたからといって安全とはいえません。

円安と衆院選の影響を分けて考える

2024年10月は国内政治の動きと、米国の経済指標・為替相場がともに注目された月でした。

10月27日に衆議院議員総選挙が行われ、与党が過半数に届かなかったことは、政策の先行きに対する投資家の見方を変える材料の一つになりました。しかし、政党の議席数の変化と、今後の税制や経済政策が確定した事実は別です。政治に関する相場観は、あくまで当時の市場参加者の予測として扱う必要があります。

同じ月には円安も進み、元投稿では10月初めの1ドル142円程度から月末の152円程度へ動いたことが話題になっていました。円安が日本企業に与える影響は均一ではありません。輸出や海外での売上が大きい企業は円換算利益が増える場合がありますが、輸入した原材料を大量に使う企業ではコスト増になることもあります。

たとえば海外売上が1億ドルある企業なら、1ドル142円で142億円、152円では152億円と計算されます。しかしこれは単純な換算の例です。実際の利益は現地生産、輸入の有無、為替予約、価格設定、税金などにも左右されます。

日経の月報では、米景気の底堅さや円安方向の動きが、日本の株価を下支えした背景として説明されています。市場全体を一つのニュースだけで説明せず、複数の要因を考えることが重要です。

「日本の高配当株」と「米国の高配当株」を比べるときの注意

2024年10月の投稿では、米国の高配当株指数や主要な米国株ETFについて、当時の株価が高値圏にあることが論点になっていました。

同じ「高配当株」でも、日本の個別株と米国ETFは運用の仕組みが違います。日本の個別株では会社ごとの事業・決算・配当方針を確認します。一方、米国のETFでは対象指数、採用ルール、経費率、銘柄数、上位銘柄の偏り、分配の傾向、為替リスクなども確認する必要があります。

例えば米国ETFの分配金がドル建てで安定していても、円高によって円換算の受取額が減る場合があります。配当利回りが過去より低いという事実だけで、将来の株価が下落すると決めつけることもできません。

反対に「日本株なら為替リスクがない」という考え方も正確ではありません。海外売上や輸入原材料への依存度が高い企業では、円で取引される株式でも事業の利益が為替の影響を受けます。

投資先を比べるときは、利回りだけでなく、通貨、税金、手数料、資産の成長可能性を含めたトータルリターンで考えましょう。

モデルへの追加はコンドーテックと村上開明堂

2024年11月モデルの特徴は、前月から除外する企業がなく、次の2社を追加したことです。

当時のモデルでの扱い銘柄主な事業確認したいリスク
追加コンドーテック(7438)建設資材・金物などの販売・製造建設需要、資材価格、在庫、設備投資
追加村上開明堂(7292)自動車用バックミラーなど自動車の生産台数、海外需要、部品単価、為替
除外なし既存のモデル銘柄は継続配当と保有比率を点検

当時のモデル全体の概算配当利回りは4.12%と紹介されました。これは2024年11月に使われた株価や予想配当を前提とする一つのモデルであって、2026年現在も同じ利回りが得られるという意味ではありません。

今回の追加2社について、元投稿ではそれぞれの増配・無減配実績や業績が評価されていました。一方、配当利回りは当時の目安としていた3.75%をやや下回っていました。それでも追加を検討したという点が、この回の学習テーマです。

コンドーテックは何をしている会社?

コンドーテックは、足場用の部材やチェーン、金具など、建設や土木、産業の現場で使われる製品を扱う企業です。最終消費者に直接販売される商品ではないため、身近な名前ではなくても、施工現場の安全性や作業効率を支える製品に関わっています。

建設・土木に関係する事業は、建設投資の水準、人手不足、資材価格、公共投資、民間設備投資などの影響を受けます。長く続く事業であっても、景気が悪化したときに売上や利益が減る可能性があります。

元投稿では長い期間の黒字・減配の少なさが魅力として紹介されました。ただし、過去の実績は将来の配当を保証しません。「何年減配していないか」だけでなく、配当額とEPSが釣り合っているか、運転資金を含む営業キャッシュフローが健全かを確認する必要があります。

公式資料はコンドーテックの株主・投資家情報や決算資料から確認できます。2024年の数字と現在の数字を混同しないようにしてください。

建設資材の会社を持つ意味

食品、銀行、IT、不動産などに投資している人が建設資材関連の企業を追加する場合、収益の源泉が異なるという点で分散につながることがあります。ただし、景気後退局面では建設投資や金融、不動産関連の株価が同時に下がる可能性もあります。

業種名が違えば十分ということではなく、売上の顧客層や市場環境の共通点を考える必要があります。

村上開明堂はどんな企業?

村上開明堂は、自動車用のバックミラーなどを手がける部品メーカーです。自動車に関連する製品を製造・販売する企業であるため、自動車メーカーの生産動向や海外の自動車需要と関係があります。

元投稿では、当時の増配実績や業績の改善が評価されていました。しかし、利益が増えた年があっても、今後の自動車販売台数、材料価格、海外事業の状況などによって業績が変動する可能性があります。

特に自動車部品メーカーは、納入先の集中度、新しい技術への対応、海外工場の稼働率、為替や人件費などを調べたいところです。バックミラーの分野に強みがあっても、それだけで将来の増配を約束することはできません。

企業の事業内容と最新の決算については村上開明堂のIR情報や決算短信一覧を確認できます。

利回りが少し低くても分散のために採用するという考え方

仮に利回り5%の企業があったとしても、利益の減少や過大な配当性向が続けば、将来の減配によって受取額は小さくなるかもしれません。一方、現在利回り3.5%であっても、利益成長に伴って無理のない増配が続く企業であれば、購入価格に対する配当額が将来増える場合があります。

たとえば株価2,000円、年間配当70円なら現在利回りは3.5%です。年間配当が100円へ増えれば、取得価額に対する利回りは5%になります。ただしその増配が実現する保証はなく、株価が下がった場合に配当金だけで損失を補えるとも限りません。

また、利回りが高い企業ばかりを集めると、同じような景気要因に左右される業種へ偏ってしまう場合があります。ある企業の利回りが少し低くても、別の事業領域を追加できるなら、全体のリスクを考える上で検討する余地があります。

重要なのは、現時点の配当利回りを最大化することだけではなく、長期間にわたって配当を支払える収益力を備えているかを見極めることです。

モデル利回り4.12%を金額にすると?

配当利回り4.12%のモデルに100万円を投資したと仮定すれば、単純計算の年間配当金は税引前で41,200円となります。実際の投資では購入株数・株価・税金・配当変更などによって金額が異なります。

また、年間50万円の配当金を目標にする場合、利回り4.12%で税引前の単純計算をすると、約1,214万円の投資額が必要です。これは単なる算術例であり、実際にその金額を投資すれば毎年50万円を受け取れるという保証ではありません。

税引後の金額を目標とする場合は課税方式や口座の種類、配当の受取方法によって必要資産額が変わります。NISA口座でも、国内上場株式の配当の非課税適用には原則として株式数比例配分方式の利用が必要です。

初めて投資する場合は大きな目標よりも、生活費や緊急予備資金を確保したうえで少額から事業内容と決算を調べる練習をする方が現実的です。

J-REITを組み合わせる際の注意点

第59回ではJ-REITについても相対的な価格評価が話題になりました。J-REITは、不動産からの賃料収入などを原資に分配金を支払う商品ですが、金利や不動産価格、賃貸需要などの影響を受けます。

当時のモデルではJ-REITの割合を一般的な考え方よりやや高くする見方が紹介されていました。ただし、すべての人に適切な比率があるわけではありません。既に不動産を所有している場合や、国内不動産株を多く保有している場合は、REITを増やすことで資産の偏りが強まることもあります。

金利上昇はREITが支払う借入金利や投資口価格に影響する可能性があります。分配金利回りが高く見える背景に価格下落があるなら、将来の価値や分配金が維持されるか慎重に確認したいところです。

J-REITを持てば株式の価格変動がなくなるわけではありません。安定的なインカム収入という言葉から元本保証を連想しないことが重要です。

分散したモデルをそのまま買えば安全?

同じ銘柄を購入するだけでは、必ずしも自分に合った資産配分にはなりません。すでに持っている会社や業種がモデルの構成と重なる場合、全体では特定の景気要因に集中することもあります。

例えば自動車関連の企業をすでに多く保有している投資家が、村上開明堂をさらに追加すれば、自動車産業の動向に対する感応度が高まる可能性があります。反対に、保有する業種が偏っている人には、異なる事業を持つ銘柄を調べることが分散を考える機会になります。

「モデルに入っているから買う」のではなく、投資対象の事業、現在の価格、保有株全体との関係を理解することが大切です。特に過去のモデルを2026年現在の注文に利用するなら、最新の株価・配当予想・決算を基準に再評価する必要があります。

前月の構成と見比べる際は2024年10月モデルの解説と2024年9月モデルの解説も参考にしてください。

高配当株初心者が実践する確認手順

  1. 生活防衛資金と、近い将来に使う予定のお金を投資資金から分けます。
  2. 企業の事業を理解し、収益源と主な顧客を確認します。
  3. 売上高、利益、EPS、配当性向、営業キャッシュフローを複数年で比較します。
  4. 最新の株価と予想年間配当を同じ時点にそろえて利回りを計算します。
  5. 業種だけでなく、海外売上、金利、原材料、顧客集中などの共通リスクを確認します。
  6. 株価下落や減配があっても家計が困らない投資額を考えます。
  7. 保有する株の取得価格と新規に買う場合の価格を区別します。
  8. 過去のモデルの採用・除外を、自分の株の売買指示にしないようにします。

投資の基礎がまだ分からない場合は高配当株投資の基本ガイドも確認してください。少額でも企業のIRを読む習慣を身に付ければ、利回りの数字だけで売買する危険を減らせます。

よくある質問

Q.2024年11月モデルにコンドーテックと村上開明堂が追加された理由は?

元投稿では過去の無減配・増配実績や事業の質が評価されていました。また、目安の利回りを少し下回る銘柄でも、ポートフォリオ全体の安定性や成長性を意識して検討する考え方が示されています。現在も同じ評価が適切かは最新の企業IRで確かめる必要があります。

Q.配当利回りが3.75%より低い株は候補から外した方がよい?

決まった正解はありません。目標利回りだけではなく、利益成長、無理のない配当性向、財務、業種の偏りを確認します。高い利回りが将来の減配を織り込んでいる場合もあります。

Q.日本株が上がった月なら高配当株も必ず上がった?

いいえ。日経平均と高配当株指数は構成や計算方法が異なります。個別企業の株価もそれぞれ動きます。自分の保有資産の成果は配当金や売買時点も含めて評価してください。

Q.コンドーテックや村上開明堂を今買うべき?

この記事は2024年当時のモデルの独立した解説であり、現在の売買推奨ではありません。最新の価格、業績、配当方針、投資目的とリスク許容度を調べて判断する必要があります。

Q.年間配当50万円なら生活が安定する?

配当金があれば現金収入の助けになる場合がありますが、毎年同じ金額が保証されるわけではありません。元本の価格下落、減配・無配、税金なども考え、生活費のすべてを配当に依存しない慎重な計画が重要です。

Q.J-REITの比率は10%を目標にするべき?

特定の比率が全員に適しているわけではありません。不動産関連資産をどのくらい保有しているか、金利上昇や価格下落への許容度などで変わります。

まとめ:高い利回りだけでなく「将来の配当を支える力」を見る

2024年11月の高配当株モデルでは、コンドーテックと村上開明堂を加え、前月から除外する企業はありませんでした。モデル全体の概算利回りは当時4.12%と紹介されていましたが、これは過去の条件で計算された参考値です。

この回の考え方は、利回りがわずかに低い企業でも、収益力や配当の継続性、業種の組み合わせを考えて採用する余地があるという点にあります。高い利回りには魅力がありますが、それだけで将来の安定性を保証することはできません。

過去のモデルを今そのまま購入するのではなく、企業の事業と財務、現在の株価、保有資産との相性を確認しましょう。長期的な資産形成では、相場に合わせて判断材料を更新しながら、生活に無理のない範囲で運用を続けることが重要です。

※本記事は投資教育・情報提供目的の独立した非公式記事です。個別銘柄の購入・売却を勧めず、将来の収益や配当を保証しません。配当利回りや税制の条件は時点で変わります。投資判断は企業の最新IRや公的資料を確認し、ご自身の責任で行ってください。

参考資料と情報基準日

当時の基準日:主に2024年10月31日。記事制作時の資料確認日:2026年10月19日。